ES 地面の目印

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有理整数の3乗剰余を計算しよう

 この記事は、「日曜数学 Advent Calendar 2025」の12月15日(月)の記事として書きました。

1.はじめに

 本ブログのメモ47の冒頭にも書いたが、有理整数における平方剰余の相互法則はよく知られていて、pを奇素数とするとき、整数 a に対して x^{2}≡a \ (mod \ p) に解があるかどうかは、ルジャンドル記号 \left( \frac{a}{p} \right) を計算してすぐにわかる。

 具体的には a= \pm 2 ^{r_0}q_{1}^{r_1}...q_{n}^{r_n}素因数分解し、出てくる可能性のある-1,2 に対し、相互法則補充法則を適用し  \left( \frac{-1}{p} \right) , \left( \frac{2}{p} \right) を求める。\left( \frac{q_{i}}{p} \right) については、 |a| \lt p としてよいから q_{i} \lt p である。相互法則により  \left( \frac{p}{q_{i}} \right) が求まるので、これを繰り返し、どんどんルジャンドル記号の分母を小さくしていけば良いのである。

 3乗剰余の場合には有理整数に ω=\frac{-1+\sqrt{-3}}{2} を付加した2次体の整数環で考えるとEisensteinの法則があるが、\mathbb{Z} [ \omega ]での素元を対象としたものなので、今一つ適用法がわからなかった。しかし、x^{3}=a \ (mod \ p) に解があるかどうかは有理整数の範囲で平方剰余と同じような方法で求めたいと思うのも自然である。そういった経緯から、有理整数における3乗剰余に関する既存結果を眺めて、平方剰余風の計算法がないものか考えてみた。この小論はその試みをまとめたものである。いちいち有理整数と書くのも面倒なので、以下、整数とは有理整数のこととする。

 ここに書いた計算法は、事前に準備しておくべき情報も多くあまり実用的とは思えません。ただ、こういうやり方で計算できそうだと考えていただければありがたいです。

 なお、素数 pp≡2 \ (mod \ 3) のときは、すべての有理整数は3乗剰余なので、以下では p≡1 \ (mod \ 3) とする。

 

2.3乗剰余記号

 よく知られているように、4p=A^{2}+27B^{2}, A≡1 \ (mod \ 3) , B \gt 0 となる整数 A,B が一意的に定まる(例えば、本ブログの「4p=A^2+27B^2 は、なかなか凄い -第32回日曜数学会発表資料-」をご覧ください)。

 このとき、k \in \mathbb{Z} に対し3乗剰余記号  \left( \frac{k}{p}\right)_{3}

\begin{eqnarray}
\left( \frac{k}{p} \right)_{3}
=
\begin{cases}
1 & (kが3乗剰余のとき) \\
\omega^{sgn(B(k))}, & (kが3乗非剰余のとき) \\
0 & (k≡0 \ (mod \ p)のとき)\end{cases}
\end{eqnarray}

と定める。ここで、k≢0 \ (mod \ p) が 3乗非剰余のとき sgn(B(k))4p=A^2+27B(k)^2, \ A≡-3(2k^{\frac{p-1}{3} }+1 ) B(k) \ (mod \ p)) が成り立つときの B(k)の符号である。 また、ω=\frac{-1+\sqrt{-3}}{2}である。

(注意:本来は \omega^{sign(B(k))} と書きたいところだったが、複数行式の表現でsign がうまく表せなかった。以下では符号を表す関数を sign( \ ) とすることもあります。)

 なお、4p=A^2+27B(k)^2 であれば、B(k) は符号を除いて定まり、(A-3(2k^{\frac{p-1}{3} }+1 ) B(k) )(A+3(2k^{\frac{p-1}{3} }+1 ) B(k) )≡0 \ (mod \ p) なので、上の条件で符号も定まる。

 

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命題1 3乗剰余記号  \left( \frac{k}{p}\right)_{3}  は、mod \ p に関するディリクレ指標である。つまり、

i) 3乗剰余記号は整数から複素数への関数である。

ii) a≡b \ (mod \ p) ならば  \left( \frac{a}{p}\right)_{3}=\left( \frac{b}{p}\right)_{3}

iii) \left( \frac{ab}{p}\right)_{3}=\left( \frac{a}{p}\right)_{3} \left( \frac{b}{p}\right)_{3}

iv) \left( \frac{1}{p}\right)_{3}=1

v) a≡0 \ (mod \ p) ならば \left( \frac{a}{p}\right)_{3}=0

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 命題の証明を読むのも面倒だと思うので、説明は後のほうの 6.に書いておきます。以降の命題についても同様です。

 

3.3乗剰余の計算に必要な相互法則

 2.で3乗剰余記号がディリクレ指標であることがわかった。つまり、乗法的指標であることがわかったので、平方剰余の場合に倣って  \left( \frac{k}{p}\right)_{3} の値を p を小さくしながら計算することを考える。

今、3を法として1に合同である素数 p,q について

 4p =A^{2}+27B^{2}, \ A≡1 \ (mod \ 3), \ B \gt 0

 4q =A’^{2}+27B’^{2}, A’≡1 \ (mod \ 3), \ B’ \gt 0 

とする。 このとき、以下がいえれば平方剰余と同じような計算ができる。

 

① すべての  p≡1 \ (mod \ 3) なる素数について、 \left( \frac{k}{p}\right)_{3} \left( \frac{2}{p}\right)_{3}, \ \left( \frac{3}{p}\right)_{3}, \  \left( \frac{q}{p}\right)_{3} の積に分解される。ここで qq \lt p かつ q≡1  \ (mod \ 3) なる素数

②  \left( \frac{2}{p}\right)_{3}, \ \left( \frac{3}{p}\right)_{3} は、A, \ B により定まる。

③ C=\frac{AB’-A’B}{AB’+A’B} とするとき  \left( \frac{q}{p}\right)_{3} = \left( \frac{C}{q}\right)_{3}

 

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命題2

 3を法として1に合同である素数 p,q について

 4p =A^{2}+27B^{2}, \ A≡1 \ (mod \ 3), \ B \gt 0

 4q =A’^{2}+27B’^{2}, \ A’≡1 \ (mod \ 3), \ B’ \gt 0 とする。このとき、

i)  \left( \frac{2}{p}\right)_{3}=1 \iff 2|A または 2|B \ (A, \ B の一方が偶数であれば他方も偶数になることに注意)。

  \left( \frac{2}{p}\right)_{3}=\omega \iff A≡B \ (mod \ 4)

  \left( \frac{2}{p}\right)_{3}=\omega^{2} \iff A≡-B \ (mod \ 4)

ii)  \left( \frac{3}{p}\right)_{3}=1 \iff 3|B 

    \left( \frac{3}{p}\right)_{3}= \omega \iff B≡-1 \ (mod \ 3) 

    \left( \frac{3}{p}\right)_{3}=\omega^{2} \iff B≡1 \ (mod \ 3)

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これで②がいえた。

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命題3

 3を法として1に合同である素数 p, q について

 4p =A^{2}+27B^{2}, \ A≡1 \ (mod \ 3), \ B \gt 0

 4q =A’^{2}+27B’^{2}, \ A’≡1 \ (mod \ 3), \ B’ \gt 0 とする。このとき、

  C=\frac{AB’-A’B}{AB’+A’B} とおくと \left( \frac{q}{p}\right)_{3} = \left( \frac{C}{q}\right)_{3}

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これで③がいえた。

 あとは①がいえれば良い。例えば、2 または 3 または q≡1 \ (mod \ 3) かつ q \lt p なる素数 qmod \ p の原始根となればよい。実際 p が500以下の場合はそうなっている。したがって、①は成り立ちそうだと期待できるが、自分自身で証明できていないし、既存の結果があるかもあるかもよくわからない。ただし、①が成り立つ範囲では3乗剰余記号を計算できるので、ひとまず良しとしよう。

 

4.いくつか計算してみよう

 それでは、3乗剰余を具体的に計算してみよう。そのために、p=3n+1 型の素数について p163 以下の A, \ Bq \lt p \le 163 の場合の C の値,および p=7,13,19 の場合の3乗剰余記号の値を求めておく。その結果が下の表1,2である。

 表1の見方は、上の3行が素数 p とそれに対応する A, \ B の値である。例えばp=103 については、A=13, \ B=3 である。

 4行目以下が C の値で、横方向の素数q、縦方向の素数p とみて p に対する A, \ Bq に対する A’, \ B’ から C=\frac{AB’-A’B}{AB’+A’B}を求めている。例えば、q=37, p=73 に対応する  C7 であるが、これは  \left( \frac{q}{p}\right)_{3}=\left( \frac{37}{73}\right)_{3}=\left( \frac{C}{37}\right)_{3}=\left( \frac{7}{37}\right)_{3} であることを示す。ちなみに赤色はこの3乗剰余記号の値が ω^{2} であることを示している。

 また、表2については、例えば p=7 について \left( \frac{q}{7}\right)_{3}=1 となるのは、q=1,6 のとき、ω となるのは q=2,5 のとき、ω^{2} となるのは q=3,4 のときであることを示す。

 

それでは、早速計算してみよう。

① \left( \frac{80}{97}\right)_{3} を求める。

80=16 \cdot 5=2^{4} \cdot 5 なので、\left( \frac{80}{97}\right)_{3}=\left( \frac{2}{97}\right)_{3}^{4} \cdot \left( \frac{5}{97}\right)_{3}=\left( \frac{2}{97}\right)_{3} \cdot \left( \frac{5}{97}\right)_{3} 

3乗剰余記号は -1 をかけても変わらないことに留意すれば

\left( \frac{5}{97}\right)_{3}=\left( \frac{-5}{97}\right)_{3}=\left( \frac{92}{97}\right)_{3}=\left( \frac{2}{97}\right)_{3}^{2} \cdot \left( \frac{-23}{97}\right)

\left( \frac{-23}{97}\right)_{3}=\left( \frac{74}{97}\right)_{3}=\left( \frac{2}{97}\right)_{3}\left( \frac{37}{97}\right)_{3} 

以上より

\left( \frac{80}{97}\right)_{3}=\left( \frac{2}{97}\right)_{3}\left( \frac{37}{97}\right)_{3}

p=97, \ q=37 に対応する C は表1より 13 であるので、\left( \frac{37}{97}\right)_{3}=\left( \frac{13}{37}\right)_{3}

p=37, \ q=13 に対応する C は同じく 2 であるので、\left( \frac{13}{37}\right)_{3}=\left( \frac{2}{13}\right)_{3}

よって

\left( \frac{80}{97}\right)_{3}=\left( \frac{2}{97}\right)_{3}\left( \frac{2}{13}\right)_{3}

p=97 のとき A=19, \ B=1 であるので、A≡-B \ (mod \ 4) よって、命題2より \left( \frac{2}{97}\right)_{3}=ω^{2}

p=13 のとき表2より \left( \frac{2}{13}\right)_{3}=ω^{2}

以上より  \left( \frac{80}{97}\right)_{3}=\left( \frac{2}{97}\right)_{3}\left( \frac{2}{13}\right)_{3}=ω^{2} \cdot ω^{2}=ω である。

 

②  \left( \frac{34}{103}\right)_{3} を求める。

 \left( \frac{34}{103}\right)_{3}=\left( \frac{2}{103}\right)_{3}\left( \frac{17}{103}\right)_{3}=\left( \frac{2}{103}\right)_{3}\left( \frac{86}{103}\right)_{3}=\left( \frac{2}{103}\right)_{3}^{2}\left( \frac{43}{103}\right)_{3}

\left( \frac{2}{103}\right)_{3}p=103 のとき、A=13, \ B=3 より A≡-B \ (mod \ 4) よって \left( \frac{2}{103}\right)_{3}=ω^{2} 

p=103, \ q=43 について、表1より C=25 なので

\left( \frac{43}{103}\right)_{3}=\left( \frac{25}{43}\right)_{3}=\left( \frac{5}{43}\right)_{3}^{2}=\left( \frac{38}{43}\right)_{3}^{2}=\left( \frac{2}{43}\right)_{3}^{2} \cdot \left( \frac{19}{43}\right)_{3}^{2}

p=43 のとき B=2 なので \left( \frac{2}{43}\right)_{3}=1 

p=43, \ q=19 について, 表1より C=9 よって

\left( \frac{19}{43}\right)_{3}=\left( \frac{9}{19}\right)_{3}=\left( \frac{3}{19}\right)_{3}^{2}   p=19 のとき B=7≡1 \ (mod \ 3) より \left( \frac{3}{19}\right)_{3}=ω^{2} よって

\left( \frac{19}{43}\right)_{3}=ω

以上より

\left( \frac{34}{103}\right)_{3}=\left( \frac{2}{103}\right)_{3}^{2} \cdot \left( \frac{19}{43}\right)_{3}^{2}=ω \cdot 1 \cdot ω^{2}=1

34mod \ 103 で3乗剰余であることがわかった。

 計算は面倒であるが、途中結果より

 \left( \frac{2}{43}\right)_{3}=1, \ \left( \frac{2}{103}\right)_{3}=\left( \frac{43}{103}\right)_{3}=ω^{2} などがわかる。 

よって

\left( \frac{4 \cdot 43}{103}\right)_{3}=\left( \frac{2}{103}\right)_{3}^{2}\left( \frac{43}{103}\right)_{3}=1

 一方

\left( \frac{4 \cdot 43}{103}\right)_{3}=\left( \frac{172}{103}\right)_{3}=\left( \frac{69}{103}\right)_{3}

より 69mod \ 103 で3乗剰余であることがわかるなど副産物もある。

 

 以上からわかるように \left( \frac{k}{p}\right)_{3} を計算するとして平方剰余のときの計算との違いは、p について 4p =A^{2}+27B^{2}, \ A≡1 \ (mod \ 3), B \gt 0 となる A,B および p 以下の3 を法として1に合同な素数 q について  4q =A’^{2}+27B’^{2}, \ A’≡1 \ (mod \ 3), \ B’ \gt 0 となる A’, \ B’ をすべて求めておき、さらに、計算を効率的に行うとすれば (p,q) の組について C=\frac{AB’-A’B}{AB’+A’B} を求めておかなければならない点である。このように平方剰余の場合のような計算法で3乗剰余を求めるのはあまり効率的でない。

 それであれば 

A≡-3(2 \cdot k^{\frac{p-1}{3}}+1) \cdot B(k) \ (mod \ p) であるので

 \frac {-1-\frac{A}{3B(k)}}{2}≡k^{\frac{p-1}{3}} \ (mod \ p) となる。

したがって、

k^{\frac{p-1}{3}}≡1 \ (mod \ p) のとき \left( \frac{k}{p}\right)_{3}=1

k^{\frac{p-1}{3}}≡\frac{-1-\frac{A}{3B}}{2} \ (mod \ p) のとき \left( \frac{k}{p}\right)_{3}=ω

k^{\frac{p-1}{3}}≡\frac{-1+\frac{A}{3B}}{2} \ (mod \ p) のとき \left( \frac{k}{p}\right)_{3}=ω^{2}

である。

 よって、直接 k^\frac{p-1}{3} を計算したほうが断然早そうである。

 

5. 上に示した命題の説明について

 上で証明もしくは説明なしに書いた命題について以下に説明しておく。

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命題1 3乗剰余記号  \left( \frac{k}{p}\right)_{3}  は、mod \ p に関するディリクレ指標である。つまり、

i) 3乗剰余記号は整数から複素数への関数である。

ii) a≡b \ (mod \ p) ならば  \left( \frac{a}{p}\right)_{3}=\left( \frac{b}{p}\right)_{3}

iii) \left( \frac{ab}{p}\right)_{3}=\left( \frac{a}{p}\right)_{3} \left( \frac{b}{p}\right)_{3}

iv) \left( \frac{1}{p}\right)_{3}=1

v) a≡0 \ (mod \ p) ならば \left( \frac{a}{p}\right)_{3}=0

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(説明) 

定義より iii) 以外は明らかなので iii) の説明をする。

a または bp で割れるとき iii) は成り立つ。

a かつ b が3乗剰余のときも iii) は成り立つ。

したがって、a, \ b とも p では割れず、a が3乗剰余で、 b は3乗非剰余のケースと a, \ b とも3乗非剰余のケースを考えればよい。

a が3乗剰余で、b は3乗非剰余のケース

 ab は3乗非剰余なので sign(B(ab))A≡-3(2 \cdot (ab)^{\frac{p-1}{3}}+1) \cdot B(ab) \ (mod \ p) で定める。a は3乗剰余なので a^{\frac{p-1}{3}}≡1 \ (mod \ p) 。したがって、

A≡-3(2 \cdot (ab)^{\frac{p-1}{3}}+1) \cdot B(ab)≡-3(2 \cdot b^{\frac{p-1}{3}}+1) \cdot B(ab) \ (mod \ p)

これは sign(B(b))=sign(B(ab)) であることを示す。よって iii) はなりたつ。

a, \ b とも3乗非剰余のケース

sign(B(a))=sign(B(b)) のとき、

A≡-3(2 \cdot a^{\frac{p-1}{3}}+1) \cdot B(a)≡-3(2 \cdot b^{\frac{p-1}{3}}+1) \cdot B(b) \  (mod \ p)

よって、 a^{\frac{p-1}{3}}≡b^{\frac{p-1}{3}} \  (mod \ p)

A≡-3(2 \cdot (ab)^{\frac{p-1}{3}}+1) \cdot B(ab)≡-3(2 \cdot a^{\frac {2(p-1)}{3}}+1) \cdot B(ab)

 ≡3(2 \cdot a^{\frac{p-1}{3}}+1) \cdot B(ab) \ (mod \ p)

これは、B(ab)=-B(a) であることを示す。

\left( \frac{ab}{p}\right)_{3}=\omega^{sign(B(ab))}=\omega^{-sign(B(a))}=\omega^{sign(B(a))} \cdot \omega^{sign(B(a))} \\ =\omega^{sign(B(a))} \cdot \omega^{sign(B(b))} =\left( \frac{a}{p}\right)_{3}\left( \frac{b}{p}\right)_{3}

sign(B(a)) \neq sign(B(b)) のとき

A≡-3(2 \cdot a^{\frac{p-1}{3}}+1) \cdot B(a)≡-3(2 \cdot b^{\frac{p-1}{3}}+1) \cdot B(b) \ (mod \ p)

≡3(2 \cdot b^{\frac{p-1}{3}}+1) \cdot B(a) \ ( mod \ p)

よって 2 \cdot a^{\frac{p-1}{3}}+1≡-2 \cdot b^{\frac{p-1}{3}}-1 \  (mod \ p)

      a^{\frac{p-1}{3}}+b^{\frac{p-1}{3}}+1≡0 \ (mod \ p)

      b^{\frac{p-1}{3}}≡a^{\frac{2(p-1)}{3}} \ (mod \ p)

したがって、 (ab)^{\frac{p-1}{3}}≡1 \ (mod \ p) これは ab が3乗剰余であることを示す。

よって、 

  \left( \frac{ab}{p}\right)_{3}=1

  \left( \frac{a}{p}\right)_{3}\left( \frac{b}{p}\right)_{3}=\omega^{sign(B(a))} \cdot \omega^{sign(B(b))}=\omega^{sign(B(a))} \cdot \omega^{-sign(B(a))}=1

 

よって、iii) が成り立つ。

(説明終)

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(補題

p≡1 \ (mod \ 3)素数について 4p=A^{2}+27B^{2}, \ A≡1 \ (mod \ 3), \ B \gt 0 と一意に表すとき

p∤k なる整数 k について

\left( \frac{k}{p}\right)_{3} \neq 1 ならば k^{\frac{p-1}{3}}≡\frac{A+9B(k)}{A-9B(k)} \ (mod \ p) \\ \hspace{25pt}≡\frac{-1-\frac{A}{3B(k)}}{2} \ (mod \ p)

である。ここで、B(k) は、4p=A^{2}+27B(k)^{2}, \ A≡-3(2 \cdot k^\frac{p-1}{3}+1) \cdot B(k) \ (mod \ p) により定める。

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(証明)

A≡-3(2 \cdot k^\frac{p-1}{3}+1) \cdot B(k) \ (mod \ p) 

\left( \frac{k}{p}\right)_{3} \neq 1 なので、両辺に (k^\frac{p-1}{3}-1) \neq 0 をかけると

 (k^\frac{p-1}{3}-1)A≡-3(2k^\frac{2(p-1)}{3}- k^\frac{p-1}{3}-1)B(k) \ (mod \ p)

                 \hspace{20pt}≡9(k^\frac{p-1}{3}+1)B(k) \ (mod \ p)

よって k^\frac{p-1}{3}(A-9B(k))≡A+9B(k) \ (mod \ p)

     k^\frac{p-1}{3}≡\frac{A+9B(k)}{A-9B(k)} \ (mod \ p)

同じく、A≡-3(2 \cdot k^\frac{p-1}{3}+1) \cdot B(k) \ (mod \ p) より

k^\frac{p-1}{3}≡\frac{-1-\frac{A}{3B(k)}}{2} \ (mod \ p)

(証明終)

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命題2

 3を法として1に合同である素数 p, \ q について

 4p =A^{2}+27B^{2}, \ A≡1 \ (mod \ 3), \ B \gt 0

 4q =A’^{2}+27B’^{2}, \ A’≡1 \ (mod \ 3). \ B’ \gt 0 とする。このとき、

i) \left( \frac{2}{p}\right)_{3}=1 \iff 2|A または 2|B \ (A, \ B の一方が偶数であれば他方も偶数になることに注意)。

  \left( \frac{2}{p}\right)_{3}=\omega \iff A≡B \ (mod \ 4)

  \left( \frac{2}{p}\right)_{3}=\omega^{2} \iff A≡-B \ (mod \ 4)

ii)   \left( \frac{3}{p}\right)_{3}=1 \iff 3|B 

    \left( \frac{3}{p}\right)_{3}= \omega \iff B≡-1 \ (mod \ 3) 

    \left( \frac{3}{p}\right)_{3}=\omega^{2} \iff B≡1 \ (mod \ 3)

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(説明) 

 Kenneth S. Williamsによる \\ "On Euler’s Criterion for Cubic Nonresidue”, Proceedings of The American Mathematical Society, Volume 49, Number 2, June 1975 のTheorem 1は以下のとおり。

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Teorem 1 素数 p≡1 \ (mod \ 3)4p=L^{2}+27M^{2}, L≡1 \ (mod \ 3) とするとき 

  •  \left( \frac{2}{p}\right)_{3} \neq 1 かつ L≡M \ (mod \ 4) ならば 2^\frac{p-1}{3}≡\frac{L+9M}{L-9M} \ (mod \ p)
  • \left( \frac{3}{p}\right)_{3} \neq 1 かつ M≡-1 \ (mod \ 3) ならば 3^\frac{p-1}{3}≡\frac{L+9M}{L-9M} \ (mod \ p)

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i)について

 この小論では B \gt 0 としている。A または B が偶数であることと \left( \frac{2}{p}\right)_{3} =1 は同値である。これについては、本ブログの「メモ47 2と3が3乗剰余になる条件について」を参照のこと。

 よって、以下、\left( \frac{2}{p}\right)_{3} \neq 1 とする。

 このとき AB も奇数なので A≡B \ (mod \ 4) または A≡-B \ (mod \ 4) である。

 A≡B \ (mod \ 4) のとき Therem 1 より、2^\frac{p-1}{3}≡\frac{A+9B}{A-9B} \  (mod \ p) 

一方、補題より 2^\frac{p-1}{3}≡\frac{A+9B(2)}{A-9B(2)} \ (mod \ p) 

これは B(2)=B \gt 0 であることを示す。よって、\left( \frac{2}{p}\right)_{3} =ω 

 A≡-B \ (mod \ 4) のとき Theorem 1 において L=A, \ M=-B と考えれば、

2^\frac{p-1}{3}≡\frac{A-9B}{A+9B} \ (mod \ p) これが  \frac{A+9B(2)}{A-9B(2)} \ (mod \ p) に等しいので、B(2)=-B \lt 0 である。よって、\left( \frac{2}{p}\right)_{3} =ω^{2}

ii) について

 3|B\left( \frac{3}{p}\right)_{3}=1 が同値であることは、本ブログの「メモ47 2と3が3乗剰余になる条件について」に書いた。よって、以下、\left( \frac{3}{p}\right)_{3} \neq 1 とする。

 このとき、3∤B なので B≡1または -1 \ (mod \ 3) である。

 B≡1 \ (mod \ 3) とすると -B≡-1 \ (mod \ 3) なので Theorem 1 において L=A, M=-B と考えれば、3^\frac{p-1}{3}≡\frac{A-9B}{A+9B} \ (mod \ p)  

 一方、補題より 3^\frac{p-1}{3}≡\frac{A+9B(3)}{A-9B(3)} \ (mod \ p) 

よって、B(3)=-B \lt 0 したがって、\left( \frac{3}{p}\right)_{3}=ω^2

B≡-1 \ (mod \ 3) とすると Theorem 1より 3^\frac{p-1}{3}≡\frac{A+9B}{A-9B} \ (mod \ p) 

 一方、補題より 3^{\frac{p-1}{3}}≡\frac{A+9B(3)}{A-9B(3)} \ (mod \ p) 

よって、B(3)=B \gt 0 よって、\left( \frac{3}{p}\right)_{3}=ω

(説明終)

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命題3

 3を法として1に合同である素数 p,q について

 4p =A^{2}+27B^{2}, \ A≡1 \ (mod \ 3), B \gt 0

 4q =A’^{2}+27B’^{2}, \ A’≡1 \ (mod \ 3), B’ \gt 0 とする。このとき、

 C=\frac{AB’-A’B}{AB’+A’B} とおくと \left( \frac{q}{p}\right)_{3}=\left( \frac{C}{q}\right)_{3}

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(説明)

 Zhi-Hong Sunによる”On the theory of cubic residues and nonresidues”, ACTA ARITHMETICA LXXXIV.4 (1988)の Corollary 2.2 は以下のとおり。 

---------------------------

Corollary 2.2  p,q を異なる素数p≡1 \ (mod \ 3), \ 4p=L^{2}+27M^{2} (L,M∊\mathbb{Z}), \ L≡1 \ (mod \ 3), \ q \gt 3, \ i∊\{0,1,2 \} とする。このとき、

i) q≡1 \ (mod \ 3) したがって、4q=L’^{2}+27M’^{2} \ (L’,M’∊\mathbb{Z}) であれば

   q^{\frac{p-1}{3}}≡(\frac{-1-\frac{L}{3M}}{2})^{i} \ (mod \ p)

(\frac{LM’-L’M}{LM’+L’M})^{\frac{q-1}{3}}≡(\frac{-1-\frac{L’}{3M’}}{2})^{i} \ (mod \ q) は同値

ii) q≡-1 \ (mod \ 3) の場合の記述。ここでは使わないので省略

-----------------------------

ここで、M,L’,M' には符号の不定性があり、それでも成り立つということに注意する。また、i=0とすれば 

 qmod \ p で3乗剰余 ⇔ \frac{LM’-L’M}{LM’+L’M}mod \ q  で3乗剰余 

というヤコビの定理であることに注意。よって 以下、 \left( \frac{q}{p}\right)_{3} \neq 1 とする。

 (\frac{-1-\frac{A}{3B}}{2})^{2}≡\frac{-1+\frac{A}{3B}}{2} \ (mod \ p) であるので mod \ p1 の3乗根は 1, \frac{-1-\frac{A}{3B}}{2}, \ \frac{-1+\frac{A}{3B}}{2} の3つである。

 補題により q^{\frac{p-1}{3}}≡\frac{-1-\frac{A}{3B(q)}}{2} \ (mod \ p) である。q^{\frac{p-1}{3}} \neq 1 \ (mod \ p) であるので、 \frac{-1-\frac{A}{3B(q)}}{2} ≡\frac{-1-\frac{A}{3B}}{2} または \frac{-1+\frac{A}{3B}}{2} \ (mod \ p) である。

つまり \frac{-1-\frac{A}{3B(q)}}{2} ≡(\frac{-1-\frac{A}{3B}}{2})^{i} \ (mod \ p), \ i1 または 2 である。これは B(q) \gt 0 のとき i=1, \ B(q) \lt 0 のときi=2 を意味する。つまり, \left( \frac{q}{p}\right)_{3}=ω^{i}

 一方、Corollary2.2より、これは (\frac{AB’-A’B}{AB’+A’B})^{\frac{q-1}{3}}≡(\frac{-1-\frac{A’}{3B’}}{2})^{i'} \ (mod \ p) とすると i=i' である。  

 また、C=\frac{AB’-A’B}{AB’+A’B} はヤコビの定理より \left( \frac{C}{q}\right)_{3} \neq 1 よって、補題により

C^{\frac{q-1}{3}}≡\frac{-1-\frac{A'}{3B’(C)}}{2} \ (mod \ p) したがって、B'(C) \gt 0 のとき i'=1, B’(C) \lt 0 のとき i'=2 である。 つまり、\left( \frac{C}{q}\right)_{3}=ω^{i’}

 以上より \left( \frac{q}{p}\right)_{3}=\left( \frac{C}{q}\right)_{3}

(説明終)

 

6. おわりに

 あまり実用的な結果は得られなかったが、有理整数の3乗剰余の計算がとにかく平方剰余の計算と同じようにできそうなことがわかった。

 3乗剰余の計算には、素数pについて4p =A^{2}+27B^{2}, \ A≡1 \ (mod \ 3), \ B \gt 0 なる A,B を知ることが不可欠である。これは

 p=(\frac{A+3 \sqrt{-3}B}{2})(\frac{A-3 \sqrt{-3}B}{2}) であることから2次体 \mathbb{Q} (\omega) の整数環における素イデアル分解を行っていることになる。結局、有理整数の範囲で3乗剰余を求めるといっても、背後には2次体がしっかり存在している。

 r を5以上の奇素数とするとき 素数 p≡1 \ (mod \ r) に対する r 乗剰余も同様の方法で求められるのだろうか。

 

参考文献

  1. Kenneth S. Williams, "On Euler’s Criterion for Cubic Nonresidue”, Proceedings of The American Mathematical Society, Volume 49, Number 2, June 1975
  2. Zhi-ong Sun, ”On the theory of cubic residues and nonresidues”, ACTA ARITHMETICA LXXXIV.4 (1988)

 

メモ48 p=3n+1 の素数について A(n!)^3≡1(mod p)が成り立つ

1.はじめに

 このメモではメモ47で積み残した命題の証明を試みる。

 はじめてこのメモを見る方にもわかりやすいように、まず、意味不明の表題を含めて命題の説明をする。

-------------------------------------------------

命題

 素数 pp≡1 \ (mod \ 3) のとき 4p=A^{2}+27B^{2} の形に有理整数A,B の符号を除いて一意的に表現できる。このとき A≡1 \ (mod \ 3) とすれば、

    A \{ (p-1)/3 \} ^{3}≡1 \ (mod \ p)

が成り立つ。

-------------------------------------------------

 この命題を2次体の理論などを使わず、できるだけ有理整数の範囲で証明しようとしたが、いくら考えてもうまくいかない。そこで、やむなくLemmermeyerの本"Reciprocity Laws”の練習問題7.9に沿った証明を考えてみた。ただ、どうもだまされているような気がしてすっきりしない。でもしようがないか。

 

2.これまでに本ブログで示してきた結果など

 pp \equiv 1 \pmod 3素数F_{p} を位数 p の有限体、αF_{p} の原始根とする。

また、S_{0},S_{1},S_{2},T_{0},T_{1},T_{2} を以下のとおりとする。

 S_{0}= \{ α^{3i} | 0 \leq  i \lt  (p-1)/3 \}       

 S_{1}= \{ α^{3i+1} | 0 \leq  i \lt (p-1)/3 \}   

 S_{2}= \{ α^{3i+2} | 0 \leq  i \lt (p-1)/3 \}    

 T_{0}= \{ 1+α^{3i} | 0 \leq  i \lt (p-1)/3 \}      

 T_{1}= \{ 1+α^{3i+1} | 0 \leq  i \lt  (p-1)/3 \} 

 T_{2}= \{ 1+α^{3i+2} | 0 \leq  i \lt (p-1)/3 \} 

このとき、次の補題1,2,3が成り立つ。

--------------------------

補題1 

N_{x}= \# \{ (r_{1},r_{2})|r_{1}+r_{2}=x, \ r_{1}∊S_{1},r_{2}∊S_{2} \} とおくと

N_{x}xS_{0}, \ S_{1}, \ S_{2} のどれに属すかのみに依存し、

    N_{x}= \# (T_{0} \cap S_{0}) + 1 \  \  (x∊S_{0} のとき) 

      = \# (T_{0} \cap S_{1}) \hspace{20pt} (x∊S_{1} のとき)

      = \# (T_{0} \cap S_{2})  \hspace{20pt}   (x∊S_{2} のとき)

--------------------------

(証明)

メモ43の命題3である。  

(証明終)

 以下、x \in S_{i} のとき N_{x}=N_{i} と記す。

---------------------------

補題2 

素数 p \equiv 1 \pmod 34p=A^{2}+27B^{2}, \ A\equiv 1 \pmod 3, B \gt 0 と一意に表すとき

    A=9N_{0}-p-1, \ B=|N_{1}-N_{2}| である。

----------------------------

(証明)

 メモ43の解答の中で示している。この証明はガウスの和を用いている。

(証明終)

-----------------------------

補題3

p \equiv 1 \pmod 3素数とし、有限体 F_{p}(p \ne 7,13) において αF_{p} の原始根とする。このとき

 4p=A^{2}+27B^{2}, \ A≡1 \ (mod \ 3) , \ A≡-3(2α^{(p-1)/3}+1) \cdot B \ (mod \ p)  なる整数 A, \ B が一意的に定まり、 以下が成り立つ。

 

a. \hspace{5pt} \omega =(-1+\sqrt(-3) )/2 とするとき、次の写像 F

 \hspace{20pt} Z [ \omega ] \rightarrow  F_{p}

\hspace{15pt}  a+b \omega \mapsto a+b \cdot \alpha^{(p-1)/3}

は、環準同型となり、その核は、(A+3 \sqrt(-3) \cdot B)/2 で生成される素イデアルである。

b. \hspace{5pt} \chi を有限体 F_{p} の位数3の乗法的指標とすると、

    J( \chi, \chi ) = \{ A+ 3 \sqrt(-3) \cdot B \} /2 =-1+3(N_{0}+ N_{1} \omega + N_{2} \omega ^{2} )

 ここで、J はヤコビ和、 \alpha \chi ( \alpha )= \omega となる  F_{p} の原始根である。

------------------------------

(証明)

 メモ45の補題2の証明中で示している。この証明の中でヤコビ和を用いている。

(証明終)

 

3.命題の証明

\chi を有限体 F_{p} の位数3の乗法的指標とすると、

 \hspace{15pt} J( \chi, \chi ) = \{ A+ 3 \sqrt(-3) \cdot B \} /2 =-1+3(N_{0}+ N_{1} \omega + N_{2} \omega ^{2} )

次に J( \chi ^{2}, \chi ^{2} ) を求める。

J( \chi ^{2}, \chi ^{2} )= \displaystyle \sum_{x \in F_{p} } \chi ^{2} (x) \chi ^{2} (1-x) 

 \hspace{20pt} = \displaystyle \sum_{x \in S_{0} } \chi ^{2}(x) \chi ^{2}(1-x) + \displaystyle \sum_{x \in S_{1} } \chi ^{2}(x) \chi ^{2}(1-x) +\displaystyle \sum_{x \in S_{2} } \chi ^{2}(x) \chi ^{2}(1-x)  

第1項は

  \displaystyle \sum_{x \in S_{0} } \chi ^{2}(x) \chi ^{2}(1-x) = \displaystyle \sum_{x \in S_{0} \cap T_{0} } \chi ^{2}(x) \chi ^{2}(1-x) +\displaystyle \sum_{x \in S_{0} \cap T_{1} } \chi ^{2}(x) \chi ^{2}(1-x) +\displaystyle \sum_{x \in S_{0} \cap T_{2} } \chi ^{2}(x) \chi ^{2}(1-x) 

x \in S_{0} \cap T_{0}x=α^{3l}=1+α^{3k} と表せるので

  \displaystyle \sum_{x \in S_{0} \cap T_{0}} \chi ^{2}(x) \chi ^{2}(1-x) =  \displaystyle \sum_{x \in S_{0} \cap T_{0} \\ x= \alpha^{3l}=1+ \alpha^{3k} } \chi ^{2}( \alpha^{3l}) \chi ^{2}( \alpha^{3k}) =N_{0}-1

x \in S_{0} \cap T_{1}x=α^{3l}=1+α^{3k+1} と表せるので

  \displaystyle \sum_{x \in S_{0} \cap T_{1}} \chi ^{2}(x) \chi ^{2}(1-x) =  \displaystyle \sum_{x \in S_{0} \cap T_{1} \\ x= \alpha^{3l}=1+ \alpha^{3k+1} } \chi ^{2}( \alpha^{3l}) \chi ^{2}( \alpha^{3k+1}) =N_{1} \omega^{2}

x \in S_{0} \cap T_{2}x=α^{3l}=1+α^{3k+2} と表せるので

  \displaystyle \sum_{x \in S_{0} \cap T_{2}} \chi ^{2}(x) \chi ^{2}(1-x) =  \displaystyle \sum_{x \in S_{0} \cap T_{2} \\ x= \alpha^{3l}=1+ \alpha^{3k+2} } \chi ^{2}( \alpha^{3l}) \chi ^{2}( \alpha^{3k+2}) =N_{2} \omega

よって、第1項は、

  \displaystyle \sum_{x \in S_{0} } \chi ^{2}(x) \chi ^{2}(1-x) =-1+N_{0}+N_{1} \omega^{2} +N_{1} \omega

同様に第2項、第3項を求めると、

  \displaystyle \sum_{x \in S_{1} } \chi ^{2}(x) \chi ^{2}(1-x) =N_{1} \omega^{2} +N_{2} \omega +N_{0}

  \displaystyle \sum_{x \in S_{2} } \chi ^{2}(x) \chi ^{2}(1-x) =N_{2} \omega +N_{0} +N_{1} \omega^{2}

よって、

J( \chi ^{2}, \chi ^{2})=-1+3(N_{0}+N_{1} \omega^{2} +N_{2} \omega )

 

J( \chi, \chi) + J( \chi^{2},\chi^{2}) \\ \hspace{30pt} = -1+3(N_{0}+N_{1} \omega +N_{2} \omega^{2} )-1+3(N_{0}+N_{1} \omega^{2} +N_{2} \omega ) \\ \hspace{30pt}=-2+6N_{0}-3N_{1}-3N_{2} \\ \hspace{30pt} =-2+6N_{0}-3 \{ (p-1)/3-N_{0} \} \\ \hspace{30pt}= 9N_{0} -p-1=A

 

一方、 p=3n+1 とすると、補題3の環準同型 F により

F( \omega)= \alpha^{n}  x \in F_{p} に対し x= \alpha ^{i} とすると  \chi (x)= \chi ( \alpha ^{i})= \chi ( \alpha )^{i} = \omega ^{i}

F( \chi (x))=F( \omega ^{i})=( \alpha ^{n})^{i}=x^{n}

よって

A=F(A)=F(J( \chi, \chi) + J( \chi^{2},\chi^{2}))=F(J( \chi, \chi)) + F(J( \chi^{2},\chi^{2}))= F(J( \chi^{2},\chi^{2}))

 \hspace{5pt} = \displaystyle \sum_{x \in F_{p} } F( \chi ^{2} (x))F( \chi ^{2} (1-x)) =  \displaystyle \sum_{x=0} ^{p-1} x^{2n}(1-x)^{2n} 

 \hspace{10pt} =\displaystyle \sum_{x=0} ^{p-1} x^{2n} \displaystyle \sum_{j=0} ^{2n}(-1)^{j} \binom {2n}{j}x^{2n-j}= \displaystyle \sum_{j=0} ^{2n}(-1)^{j} \binom {2n}{j} \displaystyle \sum_{x=0} ^{p-1}x^{4n-j} \\ \hspace{5pt} = \displaystyle \sum_{j=0} ^{2n}(-1)^{j} \binom {2n}{j} \displaystyle \sum_{x=0} ^{p-1}x^{p-1+n-j}

 

 x \neq 0 のとき、x^{p-1} \equiv 1 \pmod p に注意すると上式は

 

=\displaystyle \sum_{j=0} ^{2n}(-1)^{j} \binom {2n}{j} \displaystyle \sum_{x=0} ^{p-1}x^{n-j}

 

に等しい。

 

j \neq n のとき  \displaystyle \sum_{x=0} ^{p-1}x^{n-j} \equiv 0 \pmod p

 j=n のとき  \displaystyle \sum_{x=0} ^{p-1}x^{n-j} \equiv -1 \pmod p

 

以上より

 

A \equiv (-1)^{n+1} \binom {2n}{n}=- \frac {(2n)!}{n!}=- \frac {n!(2n)!}{n!^{3}}

n!(2n)! \equiv (3n)!=(p-1)! \equiv -1 \pmod p なので

 

A \{(p-1)/3 \} !^{3} \equiv 1 \pmod p

 

命題の証明終

 

4. おわりに

 最後はWilsonの定理が出てくるなど、なかなか鮮やかな導き方であるが、2次体やヤコビ和を用いる結構大変な証明なので、もっと簡単な有理整数のみを使った証明がほしいところである。

 

メモ47 2と3が3乗剰余になる条件について

1.はじめに

 有理整数における平方剰余の相互法則はよく知られていて、 p を奇素数とするとき、 整数 a に対し

    x^{2}≡a \ (mod \ p) 

に解があるかどうかは即座に計算できる。

 3乗剰余(立方剰余)については、有理整数の範囲では、簡明な結果が得られず、有理整数に  \omega =\frac{-1+\sqrt {-3}}{2} を付け加えた環で考えるとスッキリした法則が得られるようである。但し、x^{3}=a \ (mod \ p) に解があるかどうかは有理数の範囲で解決したいと思うのが自然である。

 実際、ウィキペディアをみると様々な法則があることがわかる。例えば、

p≡1 \ (mod \ 3) のとき 4p=A^{2}+27B^{2} の形に有理整数 A,B の符号を除いて一意に表現できる。このとき、

 

   a. \ 2 が 3乗剰余 ⇔ A≡B≡0 \ (mod \ 2)

   b. \ 3 が 3乗剰余 ⇔ B≡0 \ (mod \ 3)

   c. \ A≡1 \ (mod \ 3) とすれば \ A \cdot \{ (p-1)/3 \} !^{3}≡1 \ (mod \ p)

   d. \  A,B は 3乗剰余

 

などがなりたつ。これらの結果を、できるだけ拡大体での素数 p の分解などの情報を使わずに有理整数の範囲で証明できないだろうか。このメモでは、上の a,b の証明について記す。

 なお、奇素数 pp≡2 \ (mod \ 3) の場合、すべての有理整数は3乗剰余なので、3乗剰余については、 p≡1 \ (mod \ 3) の場合のみ考えればよい。

2.これまでの本ブログに示した結果

 まず、以下で用いるこれまで本ブログで示した結果を掲げておく。

  \alphamod \ p での原始根とするとき、

   S_{0}= \{ \alpha ^{3i} \hspace{7pt} | \ 0 \le i \lt (p-1)/3 \}

   S_{1}= \{ \alpha ^{3i+1} | \ 0 \le i \lt (p-1)/3 \}

   S_{2}= \{ \alpha ^{3i+2} | \ 0 \le i \lt (p-1)/3 \}

   T_{0}= \{ 1+ \alpha ^{3i} \hspace{7pt} | \ 0 \le i \lt (p-1)/3 \}

   T_{1}= \{ 1+ \alpha ^{3i+1} | \ 0 \le i \lt (p-1)/3 \}

   T_{2}= \{ 1+\alpha ^{3i+2} | \ 0 \le i \lt (p-1)/3 \}

とおく。

 このとき、つぎの補題1,2が成り立つ

--------------------------------------------------------

補題1 N_{x}= \# \{ (r_{1},r_{2}) \ | \ r_{1}+r_{2}=x,  \ r_{1} \in  S_{1}, \ r_{2} \in S_{2} \} とおくと  N_{x}xS_{0}, \ S_{1}, \ S_{2} のどれに属すかのみに依存し、

   N_{x}= \# (T_{0}⋂S_{0})+1\ (x \in S_{0} のとき)

    \hspace{20pt} \# (T_{0}⋂S_{1}) \ (x \in S_{1} のとき)

     \hspace{20pt} \# (T_{0}⋂S_{2}) \ (x \in S_{2} のとき)

--------------------------------------------------------

(証明)

 メモ43の命題3である。  (証明終)

 

 以下 x \in S_{i} のとき N_{x}=N_{i} と記す。

--------------------------------------------------------

補題2 p≡1 \ (mod \ 3)4p=A^{2}+27B^{2}, \  A≡1 \ (mod \ 3), \ B \gt 0 と一意に表すとき

   A=9N_{0}-p-1, \ B=|N_{1}-N_{2}| である。

--------------------------------------------------------

(証明)

 メモ43の解答の中で示している。この証明の中ではガウスの和を用いている。 (証明終)

3. 2 が3乗剰余であるための条件

--------------------------------------------------------

命題1 pp≡1 \ (mod \ 3) なる奇素数とし、4p=A^{2}+27B^{2}, \ A≡1 \  (mod \ 3), \ B \gt 0 と一意に表すとき、

  2mod \ p で3乗剰余 ⇔ 2|A, 2|B ⇔ 2|A, \ 2|B のどちらが成り立つ

--------------------------------------------------------

(証明)

 補題1と2より A=9N_{0}-p-1=9 \# (T_{0}⋂S_{0})-p+8 なので

  A: 偶数 ⇔ N_{0}: 偶数 ⇔ \# (T_{0}⋂S_{0}):奇数

 (T_{0}⋂S_{0} \ni x について

 f: \ x \rightarrow 1-xS_{0}⋂T_{0} \rightarrow S_{0}⋂T_{0} への全単射で f^{2} は恒等写像である。

 写像 f不動点x=1-xより x=1/2 である。したがって、

  \# S_{0}⋂T_{0} が偶数 ⇔ 1/2 が3乗剰余でない ⇔ 2 が3乗剰余でない。

 また、A, \ B の偶奇は常に同一。

(証明終)

4. 3 が3乗剰余であるための条件

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命題2 pp≡1 \ (mod \ 3) なる奇素数とし、4p=A^{2}+27B^{2}, A≡1 \ (mod \ 3), \ B \gt 0 と一意に表すとき、

 3mod \ p で3乗剰余 ⇔ 3|B

--------------------------------------------------------

(証明)

T_{0}- \{0 \} = \{1+\alpha ^{3i} \ | \ 0 \le i \lt (p-1)/3 \} = (S_{0}⋂T_{0})⋃(S_{1}⋂T_{0})⋃(S_{2}⋂T_{0})

 左辺の集合の元の積をとると  mod \ p

\displaystyle \prod_{k=0 \\ k \ne (p-1)/6}^{(p-1)/3-1} (1+ \alpha^{3k})

≡\displaystyle \prod_{k=0 \\ k \ne (p-1)/6}^{(p-1)/3-1} (1+ \alpha^{k})(1+\alpha^{k+(p-1)/3})(1+\alpha^{k+2(p-1)/3})

≡[ \displaystyle \prod_{k=0 \\ k \ne (p-1)/2}^{(p-1)-1} (1+ \alpha^{k}) ] / \{(1+\alpha^{(p-1)/6})(1+\alpha^{5(p-1)/6}) \}

 

(1+\alpha^{(p-1)/6})(1+\alpha^{5(p-1)/6})≡2+\alpha^{(p-1)/6})+\alpha^{5(p-1)/6}

≡2+\alpha^{(p-1)/6}(1+\alpha^{2(p-1)/3})≡2-\alpha^{(p-1)/6} \cdot \alpha^{(p-1)/3}≡2-\alpha^{(p-1)/2}=3

 また、

\displaystyle \prod_{k=0 \\ k \ne (p-1)/2}^{(p-1)-1} (1+\alpha^{k})≡(p-1)!≡-1

なので、左辺の集合の積は -1/3

 右辺の集合の元の積をとると、ある整数 l, \ l' が存在して

\displaystyle \prod_{\alpha^{3k} \in T_{0}⋂S_{0}} \alpha^{3k} \displaystyle \prod_{\alpha^{3k+1} \in T_{0}⋂S_{1}} \alpha^{3k+1} \displaystyle \prod_{\alpha^{3k+2} \in T_{0}⋂S_{2}} \alpha^{3k+2} 

≡\alpha^{3l}\alpha^{N_{1}+2N_{2}}≡ \alpha^{3l’}\alpha^{N_{1}-N_{2}}

 

 補題2より B=|N_{1}-N_{2}|なので -1 が3乗剰余であることに注意すれば、 3 が3乗剰余であるとと 3|B であることは同値である。 (証明終)

5.おわりに

 まだ、証明できていないが p≡1 \ (mod \ 9) のときは 

    3 が3乗剰余 ⇔ 3|N_{1}, \ 3|N_{2} 

が成立すると予想される(p=613 までは正しいことを確認した)。

 また、「1.はじめ」に記した c の初等的な証明にも取り組んでみたい(d cより容易に得られる。)

 

4p=A^2+27B^2 は、なかなか凄い -第32回日曜数学会発表資料-

 第32回日曜数学会(2025.2.16)で発表する(した)資料です。ご関心のある方はご覧いただけるとありがたいです。

 

drive.google.com

 

 

 

メモ46 有限体Fpにおけるx^5+y^5=kの解の個数はどうなっているか?

1.はじめに

 メモ45で有限体 F_{p} における x^{3}+y^{3}=k  の解の個数(無限遠点の解は含まない)について、以下を示した。

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命題 有限体 F{p} \ (p≡1 \ (mod \ 3), p \neq 7,13)において、A,B4p=A^{2}+27B^{2} \ A≡1 \ (mod \ 3)  として、A は一意的に定まり、B は符号を除いて定まる整数とする。 

F_{p} における不定方程式 x^{3}+y^{3}=k (k自然数 p∤k) の解の個数(無限遠点を除く) E_{p} は以下のとおり。

① kmod \ p3 乗剰余のとき  E_{p}=A+p-2 

② kmod \ p3 乗剰余でないとき、B の符号を A≡-3(2 \cdot k^{(p-1)/3}+1) \cdot B \ (mod \ p) で定めると

   E_{p}=(-A+9B+2p-4)/2

 

 無限遠点まで含めた解の数は、E_{p}3 を加えればよい。

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 3 乗を5 乗にしたらどうなるのか、というのがこのメモのテーマである。

 日曜数学 Advent Calendar 2024 の11日目の記事として、「有限体 F_{p} の乗法群から有限体 F_{p} の加法群へのある写像全射性  -- F_{p} における x^{l}+y^{l}=k の解の個数に関連して--」を書いた。その最後に以下のように書いた(x,w,u,v の大文字化、「命題 1」 の語の追加についてのみ変更)。

*************************************************

”The Determination of Gauss Sums” (https://www.ams.org/journals/bull/1981-05-02/) によると 5 次のガウス和に関連して、以下が成り立つという。

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命題1

pp≡1 \ (mod \ 5)素数とするとき、

 16p=X^{2}+125W^{2}+50V^{2}+50U^{2}, XW=V^{2}−U^{2}−4UV

X≡1 \ (mod \ 5) となる解は、実質的に唯一に定まる。実際は 8 つの解があり、これらは  \pm (X,W,V,U), \pm (X,W,−V,−U), \pm (X,−W,U,−V), \pm (X,−W,−U,V) である。

-------

l=3 のときは、

p≡1 \ (mod \ 3) なる素数

4p=A^{2}+27⋅B^{2}, A≡1 \ (mod \ 3) という形にあらわされ、A,B が x^{3}+y^{3}=k の解の個数を定めていた。l=5 について、(x,w,v,u)x^{5}+y^{5}=k の解の個数を決めるのだろうか。

*************************************************

 つまり、この疑問がテーマなのであるが、数値実験を行うとある傾向が見えてきて、k5 乗剰余の場合には以下が成り立つことが分かった。

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命題2

 整数の組 (X,W,V,U) を 

   16p=X^{2}+125W^{2}+50V^{2}+50U^{2}, XW=V^{2}−U^{2}−4UV

の整数解のうち X≡1 \ (mod \ 5) なる解とすると、p∤k なる自然数 k が有限体 F_{p} の元として 5 乗剰余であるとき、有限体 F_{p} での x^{5}+y^{5}=k の解の数 E_{p} について、以下がなりたつ。

    E_{p}=p-4+3X 

である。無限遠点まで含めた解の数とするには 5 を加えればよい。

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 k5 乗剰余でない場合は解決していないが、これまでの紆余曲折の過程を備忘録としてメモしておく。

 

2.取り組みの方針

 3 乗の場合は、Silvermanの”Rational Points on Elliptic Curves”のGaussの定理 (p111) の証明に準じて行ったので、5 乗の場合も当初はその方針を踏襲することとした。つまり、

 

 pp≡1 \ (mod \ 5) なる素数ζ=e^{2πi/p} ,α を有限体 F_{p} の原始根とし、

 S_{0}= \{ α^{5i} \ | \ 0 \leq i \lt (p−1)/5 \}

 S_{1}= \{ α^{5i+1} \ | \ 0 \leq i \lt (p−1)/5 \}

 S_{2}= \{ α^{5i+2} \ | \ 0 \leq i \lt (p−1)/5 \}

 S_{3}= \{ α^{5i+3} \ | \ 0 \leq i \lt (p−1)/5 \}

 S_{4}= \{ α^{5i+4} \ | \ 0 \leq i \lt (p−1)/5 \}

とするとき、

 

   g_{0}= \displaystyle \sum_{r \in S_{0}}ζ^{r}

   g_{1}= \displaystyle \sum_{r \in S_{1}}ζ^{r}

   g_{2}= \displaystyle \sum_{r \in S_{2}}ζ^{r}

   g_{3}= \displaystyle \sum_{r \in S_{3}}ζ^{r}

   g_{4}= \displaystyle \sum_{r \in S_{4}}ζ^{r}

 

とし、g_{0},g_{1},g_{2},g_{3},g_{4} を解とする Q 上の既約方程式を求め、b_{i}=1+5g_{i} の満たす Q 上の既約方程式の係数との関係から、p の2次式による表現とその表現に現れる変数と解の個数を結びつけるという方針とした。

 なお、

 T_{0}= \{ 1+α^{5i} \ | \ 0 \leq i \lt (p−1)/5 \}

 T_{1}= \{ 1+α^{5i+1} \ | \ 0 \leq i \lt (p−1)/5 \}

 T_{2}= \{ 1+α^{5i+2} \ | \ 0 \leq i \lt (p−1)/5 \}

 T_{3}= \{ 1+α^{5i+3} \ | \ 0 \leq i \lt (p−1)/5 \}

 T_{4}= \{ 1+α^{5i+4} \ | \ 0 \leq i \lt (p−1)/5 \}

とおくとき、S_{i}⋂T_{0} の位数から解の個数が求まることを、上記の「日曜数学 Advent Calendar 2024」の記事にかいた。また、p 2 次式による表現については、命題1で分かっている。

 実際に、g_{0},g_{1},g_{2},g_{3},g_{4} を根とする Q 上の既約方程式を求めようとすると、1 次の項の係数と定数項が  \# S_{i}⋂T_{j} を変数とする極めて複雑な式になってしまった(良いやり方はあるかもしれない)。一方、b_{0},b_{1},b_{2},b_{3},b_{4} を解とする Q 上の既約方程式は、上記”The Determination of Gauss Sums” に記載がある。シン命題1として命題1に追加する形で示すと以下のとおりである。

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シン命題1

pp≡1 \ (mod \ 5)素数とするとき、

  16p=X^{2}+125W^{2}+50V^{2}+50U^{2}, XW=V^{2}−U^{2}−4UV

X≡1 \ (mod \ 5) となる解は、実質的に唯一に定まる。実際は 8 つの解があり、これらは \pm (X,W,V,U), \pm (X,W,−V,−U), \pm (X,−W,U,−V), \pm (X,−W,−U,V)である。

 また、X≡1 \ (mod \ 5) の解に対して、b_{0},b_{1},b_{2},b_{3},b_{4} を解とするQ 上の既約方程式 P(Z) は、

P(Z)=Z^{5}-10pZ^{3}-5pXZ^{2}+5/4 \cdot p(4p-X^{2}+125W^{2})Z \\ \hspace{20pt} +p/8 \{ 8pX-X^{3}+625W(V^{2}-U^{2}) \}

 である。

-------

 このため、シン命題1を前提として、X,W,U,VS_{i}⋂T_{0} の位数の関係をどうつけるかという方向にとりあえず方向転換することとした。

 

3. S_{i}⋂T_{j} の位数について

 以下の補題1が成り立つ。証明はメモ43の命題1、命題2等と同様であるので省略する。

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補題1

 i) \ F_{p}^{*}=S_{0}⋃S_{1}⋃S_{2}⋃S_{3}⋃S_{4} \hspace {10pt} S_{i}⋂S{j}= \emptyset

  ii) \ F_{p}-{1}=T_{0}⋃T_{1}⋃T_{2}⋃T_{3}⋃T_{4} \hspace {10pt} T_{i}⋂T_{j}=\emptyset

 iii) \ S_{i}⋂T_{j}= S_{j}⋂T_{i}

 iv) \ S_{i}⋂T_{i}=S_{0}⋂T_{5-i}=S_{5-i}⋂T_{0}

 v) \ \displaystyle \sum_{i} \# (S_{i}⋂T_{0})=(p-1)/5-1

  \hspace {20pt} \displaystyle \sum_{i} \#(S_{i}⋂T_{j})=(p-1)/5 \  (j \neq 0)

-------

 今、n_{i}= \# (S_{i}⋂T_{0}), \ m_{i}= \# (S_{i}⋂T_{1}), \ h_{i}= \# (S_{i}⋂T_{2}) とおくと、 \# (S_{i}⋂T_{j}) 55 列に並べた行列は補題1の iii),iv) に注意すれば、以下のようになる

補題2

 \# S_{4}⋂T_{3}= \# S_{3}⋂T_{4}=m_{2}, h_{4}=m_{3} 

(証明)

1行目を除き、それぞれの行の和は (p-1)/5 に等しいので、2 行目(T_{1} の行)と 5 行目(T_{4} の行)より

 n_{1}+n_{4}+m_{2}+m_{3}+m_{4}=n_{4}+m_{4}+h_{4}+ \# S_{3}⋂T_{4}+n_1

よって m_{2}+m_{3}=h_{4}+ \# S_{3}⋂T_{4}

同様に 3 行目と 4 行目より

    m_{2}+h_{4}=m_{3}+ \# S_{4}⋂T_{3} 

を得る。

 この2式より、  \# S_{4}⋂T_{3}= \# S_{3}⋂T_{4}=m_{2}, h_{4}=m_{3} を得る。

(証明終)

 

よって 55 列の行列を書き直すと以下のとおりとなる。

関係式としては

 n_0+n_{1}+n_{2}+n_{3}+n_{4}=(p-1)/5-1

 n_{1}+n_{4}+m_{2}+m_{3}+m_{4}=(p-1)/5

 n_{2}+n_{3}+m_{2}+m_{3}+h_{3}=(p-1)/5

がある。

 以下、便宜上、u=m_{2},v=m_{3},z=m_{4},w=h_{3} も場合によって使用する。

未知数としては、n_{0},n_{1},n_{2},n_{3},n_{4},u,v,z,w9 つあるが、上の関係式より、未知数の数は多くても 6 つであると考えてよい。

 

4.(g_{0},g_{1},g_{2},g_{3},g_{4}) 及び (b_{0},b_{1},b_{2},b_{3},b_{4}) を解とする Q 上の5次既約方程式

 g_{0},g_{1},g_{2},g_{3},g_{4} を解とする既約方程式を求めるには、これらの基本対称式を求めればよい。b_{i}=1+5g_{i} より、b_{0},b_{1},b_{2},b_{3},b_{4} の基本対称式も g_{0},g_{1},g_{2},g_{3},g_{4} の基本対称式から得られる。これら2つの基本対称式を n_{i},m_{i},h_{i},u,v,z,w であらわした結果を補題3に示す。

 

------------------

補題3

i) \ g_{0},g_{1},g_{2},g_{3},g_{4} の基本対称式は以下のとおり

\hspace{20pt} \displaystyle \sum_{i}g_{i} = -1

\hspace{20pt} \displaystyle \sum_{i \neq j}g_{i}g_{j} = -2(p-1)/5

\hspace{20pt} \displaystyle \sum_{i \neq j\neq k}g_{i}g_{j}g_{k}=-2 \{ (p-1)/5 \} ^{2}+(u+w)p

\hspace{20pt} \displaystyle \sum_{i \neq j \neq k \neq l}g_{i}g_{j}g_{k}g_{l}=- \{ -(p-1)/5 \} ^{3}+(n_{1}v+zu+vn_{4}+un_{1}+n_{4}z)p

\hspace{20pt} g_{1}g_{2}g_{3}g_{4}g_{5}=-P^{4}+m_{3}h_{1}(-5P^{2}+3(u+w)p-1-6P) \hspace{60pt} +p(c_{1}w+c_{2}u+c_{3}n_{4}+c_{4}n_{1}+c_{5}n_{3}+c_{6}n_{2})

但し、

P=(p-1)/5

c_{1}=m_{0}h_{4}+m_{1}h_{3}+m_{0}h_{0}+m_{2}h_{3}+m_{4}h_{4}+m_{1}h_{2}

c_{2}=m_{1}h_{0}+m_{2}h_{4}+m_{4}h_{3}+m_{0}h_{2}+m_{2}h_{2}+m_{4}h_{0}

c_{3}=m_{2}h_{1}+m_{3}h_{0}+m_{4}h_{2}

c_{4}=m_{3}h_{2}+m_{4}h_{1}+m_{2}h_{0}

c_{5}=m_{1}h_{1}+m_{3}h_{4}+m_{0}h_{3}

c_{6}=m_{3}h_{3}+m_{0}h_{1}+m_{1}h_{4}

 

ii) \ b_{0},b_{1},b_{2},b_{3},b_{4} の基本対称式は以下のとおり

\hspace{20pt} \displaystyle \sum_{i}b_{i}=0

\hspace{20pt} \displaystyle \sum_{i \neq j}b_{i}b_{j}=-10p

\hspace{20pt} \displaystyle \sum_{i \neq j \neq k}b_{i}b_{j}b_{k}=-10p^{2}-10p+125(u+w)p

\hspace{20pt} \displaystyle \sum_{i \neq j \neq k \neq l}b_{i}b_{j}b_{k}b_{l}=-5p^{3}-5p^{2}-5p+625(n_{1}w+n_{2}u+n_{3}z+n_{4}v+uv)p

\hspace{25pt} +250(u+w)p

\hspace{20pt} g_{1}g_{2}g_{3}g_{4}g_{5}=-4-50P+125 \{ -2P^{2}+(u+w)p \}

\hspace{25pt} +625 [ -P^{3}+(n_{1}v+zu+vn_{4}+un_{1}+n_{4}z)p ]

\hspace{25pt} +625 [ -P^{4}+m_{3}h_{1}(-5P^{2}+3(u+w)p-1-6P) ]

 \hspace{25pt} +p(c_{1}w+c_{2}u+c_{3}n_{4}+c_{4}n_{1}+c_{5}n_{3}+c_{6}n_{2}) ]

 c_{i}Pi) と同じ

-----------------

(証明)煩雑なので省略する。

 

5. p が小さい場合の X,W,V,U,u,v,z,w,n_{0},n_{1},n_{2},n_{3},n_{4} x^{5}+y^{5}=k^{5} の解の数

 p≡1 \  (mod \ 5) なる素数が小さいとき、X,W,V,U,u,v,z,n_{0},n_{1},n_{2},n_{3},n_{4}x^{5}+y^{5}=k^{5} の解の数  E_{p} をsage mathで計算してみた。その結果が、下の表である。

 日曜数学 Advent calendar 2024 の11日目の記事に書いたように E_{p}=n_{0}5^{2}+10 であるが、(X,W,V,U)(u,v,z,n_{0},n_{1},n_{2},n_{3},n_{4}) の関係、及び (X,W,V,U)E_{p} の関係について何か示唆が得られないかと期待した。

 この表から分かるように、u=z, v=w となるのではないかと予想される。実際に次の補題4によりその予想が成り立つことがわかった。目標が明確になれば、うまくいくこともあるものだと感じた。

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補題4

 u=m_{2}= \# S_{2}⋂T_{1}= \# S_{4}⋂T_{1}=m_{4}=z

  v=m_{3}= \# S_{3}⋂T_{1}= \# S_{3}⋂T_{2}=h_{3}=w

(証明)

 S_{2}⋂T_{1} \ni x は 原始根 α により x=α^{5i+2}=1+α^{5j+1} と表される。

\hspace{10pt} x/α^{5j+1}=α^{5i-5j+1}=α^{-5j-5+4}+1

 \hspace{10pt} 1/(1-x)=1-x/α^{5j+1}=-α^{-5j-5+4}=1-α^{5i-5j+1} \in S_{4}⋂T_{1}

より

 \hspace{10pt} x \longmapsto 1/(1-x)S_{2}⋂T_{1} から S_{4}⋂T_{1} への全単射を定めることが分かる。

S_{3}⋂T_{1} \ni x は原始根 α により x=α^{5i+3}=1+α^{5j+1}  と表される。

 \hspace{10pt} x/α^{5i+3}=1=α^{-5i-5+2}+α^{5j-5i-5+3}=1/x+α^{5j-5i-5+3}

1-1/x=1-α^{-5i-5+2}=α^{5j-5i-5+3} \in S_{3}⋂T_{2}

より

 x \longmapsto 1-1/x  は S_{3}⋂T_{1} から S_{3}⋂T_{2} への全単射を定めることが分かる。

(証明終)

------

 

6. k が有限体 F_{p}5 乗剰余のときの x^{5}+y^{5}=k \  (mod \ p) の解の数

 pp≡1 \ (mod \ 5) なる素数k p∤k なる自然数mod \ p5 乗剰余とする。このとき、有限体 F_{p} での x^{5}+y^{5}=k の解の数(無限遠点を除く)は、次の命題2のとおりである。

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命題2(再掲)

 整数の組 (X,W,V,U) を 

   16p=X^{2}+125W^{2}+50V^{2}+50U^{2}, XW=V^{2}−U^{2}−4UV

の整数解のうち X≡1 \ (mod \ 5) なる解とすると、p∤k なる自然数 k が有限体 F_{p} の元として 5 乗剰余であるとき、有限体 F_{p} での x^{5}+y^{5}=k の解の数 E_{p} について、以下がなりたつ。

    E_{p}=p-4+3X 

無限遠点まで含めた解の数とするには 5 を加えればよい。

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(証明)

 シン命題1と補題3により、b_{0},b_{1},b_{2},b_{3},b_{4} の満たす Q 上の既約方程式の 2 次の項を比較して

 \hspace{10pt} -5pX=-(-10p^{2}-10p+125(u+w)p)

である。よって

 \hspace{10pt} X=-2p-2+25(u+w)

また、補題4等により

 \hspace{10pt} n_{0}+n_{1}+n_{2}+n_{3}+n_{4}=(p-1)/5-1 

 \hspace{10pt}  n_{1}+n_{4}+u+w+u=(p-1)/5

  \hspace{10pt} n_{2}+n_{3}+u+w+w=(p-1)/5

下の 2 式を足して

  \hspace{10pt} 3(u+w)=2/5 \cdot (p-1)-(n_{1}+n_{2}+n_{3}+n_{4})

この式に最初の式を考慮すると

 \hspace{10pt} 3(u+w)=(p-1)/5+1+n_{0}

したがって、

 \hspace{10pt} X+2p+2=25/3 \{ (p-1)/5+1+n_{0} \}

これを整理して

 n_{0}=(p-14+3X)/25

日曜数学 Advent calendar 2024 の11日目の記事の命題にあるように、

 有限体 F_{p} での x^{5}+y^{5}=k の解の数 =n_{0}5^2+2 \cdot 5=p-4+3X となる。

(注:11日目の記事の命題はある写像全射性を仮定しているが、その仮定を除いても正しいことはすぐわかる)

(証明終)

 本来は、シン命題1を既知とせずに、これもあわせて証明したかったが、基本対称式の計算が複雑になったのであきらめた。n_{1},n_{2},n_{3},n_{4}(X,W,V,U) の関係を明らかにできれば、k5 乗剰余でない場合でも解の個数が求められることになるので、それとあわせて検討してみたいと思う。

 また、7,11 など 5 以上の奇素数の場合どうなるかも興味あるところである。

 

有限体Fpの乗法群から有限体Fpの加法群へのある写像の全射性  --Fpにおける x^l+y^l=k の解の個数に関連して--

  この記事は、「日曜数学 Advent Calendar 2024」の12月11日(水)の記事として書きました。


1. はじめに

 p,l を奇素数k自然数とするとき、有限体 F_{p} における x^{l}+y^{l}=k の解の個数を考える。

 lp-1 がたがいに素であるとき、F_{p} の乗法群 F_{p}^{*} の元 x に対し x^{l} を与える写像F_{p}^{*} 間の全単射であるので、解の個数は X+Y=k の解の個数と同じになる。よってその場合を除外して、以下 p≡1 \ (mod \ l) の場合のみ考える。

 

 このとき、写像 f:F_{p}^{*} \times F_{p}^{*} \ni (x,y) \rightarrow  x^{l}+y^{l} \in F_{p}  は全射となるだろうか。全射であれば、有限体 F_{p} において x^{l}+y^{l}=k は必ず解を有することになる。 

 

 l=3 の場合については、本ブログのメモ40~メモ45p \neq 7,13 であれば上の写像fが全射であることに加え、x^{l}+y^{l}=k の解の個数を示した。

 

 l5 以上の奇素数のときは、どうなるであろうか。というのが、この問題を考えたきっかけである。結論からいうと l が小さいいくつかの場合について調べてみて、p が十分大きければ全射になるのではないかとの感触を得た。むしろ、全射であってほしいという願望というのが正しいかも知れない。ということで、これまでの数値実験の結果などを記してみたい。

 

 既にこの問題の答えは分かっている、あるいは、こうすれば分かるという情報があれば是非、教えていただければ有難い。

 

2. l が小さな奇素数の場合の結果

 l5,7,11,13,17,19 の場合について、p≡1 \ (mod \ l) がおおむね 3000 以下の場合、写像 f全射かどうかをシラミつぶしでsagemathを用いて調べた(l=5,7  の場合は 1000 以下の p について調べた)。その結果を下表に示す。

 

 

 上の表で、l=5 以外は p を大きくして行ったとき、一旦全射になっても再び全射でなくなることがある。また、l が大きくなるにつれて、調べた範囲では全射でない pの最大値 が大きくなることが分かる。

 

3. 写像 f:F_{p}^{*} \times F_{p}^{*} \ni (x,y) \rightarrow x^{l}+y^{l}=k \in F_{p}全射だと何がよいか

 写像 f全射であれば 有限体 F_{p} において x^{l}+y^{l}=k は必ず解を持つと1.はじめにでかいた。そのほかにも、l=3 の場合と同様に、αF_{p} の原始根とするとき、1+α^{li} (0 \leq  i  \lt  (p-1)/l) の分布により、解の個数が分かる。以下、これについて説明する。

 

 l を奇素数pp≡1 \ (mod \ l) なる素数αF_{p} の原始根とする。また、

\hspace{20pt} S_{0}= \{ α^{li} \ | \ 0 \leq i \lt (p−1)/l \}

\hspace{20pt} S_{1}= \{ α^{li+1} \ | \ 0 \leq i \lt (p−1)/l \}

\hspace{40pt}:

\hspace{40pt}:

\hspace{20pt} S_{l-1}= \{ α^{li+l-1} \ | \ 0 \leq i \lt (p−1)/l \}

 

\hspace{20pt} T_{0}= \{ 1+α^{li} \ | \ 0 \leq i \lt (p−1)/l \}

\hspace{20pt} T_{1}= \{ 1+α^{li+1} \ | \ 0 \leq i \lt (p−1)/l \}

\hspace{40pt}:

\hspace{40pt}:

\hspace{20pt} T_{l-1}= \{ 1+α^{li+l-1} \ | \ 0 \leq i \lt (p−1)/l \}

とする。このとき、以下の命題が成り立つ。

 

---------------------------------

(命題)

 写像 f:F_{p}^{*} \times F_{p}^{*} \ni (x,y) \rightarrow x^{l}+y^{l} \in F_{p}全射であれば、有限体 F_{p} におけるx^{l}+y^{l}=k \ \ (p∤k) の解の個数は

 \hspace{10pt} \bar{k} \in S_{0} のとき  \# (S_{0}⋂T_{0}) \cdot l^{2}+2 \cdot l

 \hspace{10pt} \bar{k} \in S_{i} \ (0 \lt i \lt l) のとき  \# (S_{i}⋂T_{0}) \cdot l^{2}

 ただし、無限遠点の解は除く。

 \hspace{10pt} \bar{k} は自然な写像  \mathbb{Z} \rightarrow F_{p} による自然数 k の像である。

----------------------------------

(証明)

f全射であるので

\bar{k} \in Si ( 0 \leq i \lt l) に対し x^{l}+y^{l}= \bar{k} となる x,y \in F_{p}^{*} が存在する。

よって 1+(y/x)^{l}= \bar{k}/x^{l} つまり、この元は S_{i}⋂T_{0} の元でもある

これは x^{l}+y^{l}= \bar{k} の解に対し S_{i}⋂T_{0}  の元が定まることを意味する。この写像g とする。

 g(x,y) =1+(y/x)^{l}= \bar{k}/x^{l}

逆に S_{i}⋂T_{0} \in w に対し w=α^{i+l \cdot j}=1+α^{l \cdot r} なる 0 \leq j,r \lt (p-1)/l が一意的に存在する。 z= \bar{k}/w とおくと z \in S_{0} なので z=α^{l \cdot s} と書ける。

 x=α^{s}, y=α^{r+s} とすれば

 x^{l}+y^{l}=α^{l \cdot s}+α^{l \cdot (s+r)}=α^{l \cdot s} \cdot (1+α^{l \cdot r)}=z \cdot w= \bar{k} 

xx \cdot α^{(p-1)/l}, x \cdot α^{2(p-1)/l}, .......... , x \cdot α^{(l-1)(p-1)/l}

yy \cdot α^{(p-1)/l}, y \cdot α^{2(p-1)/l}, ........ , y \cdot α^{(l-1)(p-1)/l}

としてもこれらの l 乗和は \bar{k} となる。つまり (x^{l},y^{l}) \in F_{p}^{*} \times F_{p}^{*} を固定した時、x^{l}+y^{l}= \bar{k} の解 (x,y) \in F_{p}^{*} \times F_{p}^{*} が一つあれば l^{2} 個の解があることになる。また、この l^{2} 個以外の解がいないことは、(x',y') を解としたとき、x^{l}=x’^{l}, \  y^{l}=y’^{l} であることからすぐわかる。

 また、x^{l}+y^{l}= \bar{k}x または y0 となる解は \bar{k} \in S_{0} のとき存在し、x=0 の解が l 個, y=0 の解が l 個で計 2 \cdot l 個である。

(証明終)

 

4. 写像 f全射性から有限体 F_{p} における x^{l}+y^{l}=k の解の個数へ

 3.にあげた命題により、集合 (S_{i}⋂T_{0}) \ (0 \leq i \lt l) の位数が分かれば、 有限体 F_{p} における x^{l}+y^{l}=k の解の個数が求まることになる。したがって、以下が問題となる。

 

-------------------------------

(問題)

 pp≡1 \ (mod \ l)  の素数α を有限体 F_{p} の原始根とする。このとき、

 1+α^{l \cdot i }\ (0 \leq i \lt (p−1)/l, \ i \neq (p−1)/(2l) )α  のべき乗であらわした時の指数を mod \ l で考え、指数が 0, 1,..., l-1 となる個数を求めよ。

-------------------------------

l=3 のときは、メモ43, 44, 45に示したように、この問題の解を得る上で 3 次のガウスの和が決め手となった。l 次のガウスの和というのもあるので、それを用いて上の問題が解けるのかなと夢想している。

”The Determination of Gauss Sums” (https://www.ams.org/journals/bull/1981-05-02/) によると 5 次のガウス和に関連して、以下が成り立つという。

------

pp≡1 \ (mod \ 5)素数とするとき、

16p = x^{2} + 125w^{2} + 50v^{2} + 50u^{2}, \ xw = v^{2} - u^{2} - 4uv

x≡1 \ (mod \ 5) となる解は、実質的に唯一に定まる。実際は8つの解があり、これらは \pm (x, w, v, u), \pm (x, w, -v, -u), \pm (x, -w, u, -v), \pm (x, -w, -u, v) である。

-------

l=3 のときは、

p≡1 \ (mod \ 3) なる素数

4p=A^{2}+27 \cdot B^{2}, \ A≡1 \ (mod \ 3) という形にあらわされ、A,B が x^{3}+y^{3}=kの解の個数を定めていた。l=5 について、(x,w,v,u)x^{5}+y^{5}=k の解の個数を決めるのだろうか。

メモ45 有限体Fpにおけるx^3+y^3=k の解の個数

1. はじめに

 メモ40の冒頭で少し記したように、有限体 F_{p} 上の楕円曲線 E:x^{3}+y^{3}=k の合同ゼータ関数を具体的に求めたくて、有限体 F_{p} における x^{3}+y^{3}=k の解の個数を求める試みを続けている。それに関連する事項をメモ40~44に記した。ここでは、これまでの検討結果から本来の解の個数について得られた結果をまとめておく。

 なお、p \not\equiv 1 (mod \ 3) のとき、x^{3}+y^{3}=k の解の個数は、x+y=kの解の個数と同じで 無限遠点を加えて p+1 個なので、本稿では 特に断らない限り p≡1 (mod \ 3) とする。

 

2. x^{3}+y^{3}=k の解の個数について得られた結果

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命題 有限体 F_{p}(p≡1 \ (mod \ 3), p \ne 7,13) において、A, \ B4p=A^{2}+27B^{2} \ A≡1 \ (mod \ 3) として、A は一意的に定まり、B は符号を除いて定まる整数とする。 

F_{p} における不定方程式 x^{3}+y^{3}=k (k自然数 p∤k ) の解の個数(無限遠点を除く) E_{p} は以下のとおり。

①  kmod \ p で3乗剰余のとき  E_{p}=A+p-2 

②  kmod \ p で3乗剰余でないとき、B の符号を A≡-3(2 \cdot k^{(p-1)/3}+1) \cdot B \ (mod \ p) で定めると

   E_{p}=(-A+9B+2p-4)/2

 

 無限遠点まで含めた解の数は、E_{p}3 を加えればよい。

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(注)p=7,13 の場合においても、個別に確かめると、本命題が正しいことがわかる。

 命題の証明は後で示すが、100 以下の素数 p≡1 \ (mod \ 3) について、x^{3}+y^{3}=k を有限体で考えた場合の解の個数を、k が3乗剰余の場合、及びk が3乗剰余でなく、B の符号が正負になる場合について、求めてみたのが下表である。

有限体Fpにおける x^3+y^3=k の解の個数

 

 また、この結果、有限体 F_{p} 上の楕円曲線 E:x^{3}+y^{3}=k の合同ゼータ関数が完全に求められることになる。

 

3.x^{3}+y^{3}=k の解の個数と 1+x^{3} の値の関係

 まず、記号の準備をしておく。

 p p≡1 \ (mod \ 3)素数、Fp を位数 p の有限体、αF_{p} の原始根とする。

 S_{0},S_{1},S_{2},T_{0},T_{1},T_{2} を以下のとおりとする。

  S_{0}= \{ α^{3i} | 0 \le i \lt (p-1)/3 \}        

  S_{1}= \{ α^{3i+1} | 0 \le i \lt (p-1)/3 \}  

  S_{2}= \{ α^{3i+2} | 0 \le i \lt (p-1)/3 \}    

  T_{0}= \{ 1+α^{3i} | 0 \le  i \lt (p-1)/3 \}       

  T_{1}= \{ 1+α^{3i+1} | 0 \le  i \lt (p-1)/3 \}  

  T_{2}= \{ 1+α^{3i+2} | 0 \le i \lt (p-1)/3 \} 

 

\bar{k}自然数 k の自然な写像 Z→F_{p} における像とする。

 以下の補題が成り立つ。

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補題1 有限体 F_{p} \ (p \ne 7,13) において x^{3}+y^{3}= \bar{k} (k自然数 p∤k ) の解の個数(無限遠点を除く)は以下のとおり。

   k \in S_{0} のとき  \# (S_{0}⋂T_{0}) \cdot  9+6

   k \in S_{1} のとき  \# (S_{1}⋂T_{0}) \cdot 9

   k \in S_{2} のとき \# (S_{2}⋂T_{0}) \cdot 9

 つまり、解の個数は F_{p}^{*} を部分群である S_{0} で割った商群 F_{p}^{*}/S_{0}  における \bar{k} の同値類のみに依存する。

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(証明)

\bar{k} \in S_{i} \ (i=0,1,2) とする。

 メモ41に述べた予想の証明により、p \neq 2,3,7,13 のとき

F_{p}^{*} \times F_{p}^{*} \ni (x,y)→ x^{3}+y^{3} \in F_{p} 全射である。

したがって、k に対し x^{3}+y^{3}= \bar{k} となる x,y \in F_{p}^{*} が存在する。

 よって 1+(y/x)^{3}= \bar{k} /x^{3}  つまり、この元は S_{i}⋂T_{0} の元の F_{p} における像でもある。これは x^{3}+y^{3}= \bar{k} の解に対し S_{i}⋂T_{0} の元の F_{p} における像が定まることを意味する。この写像f とする

 f(x,y)=1+(y/x)^{3}= \bar{k} /x^{3}

逆に S_{i}⋂T_{0} \ni w に対し w=α^{i+3j}=1+α^{3r}  なる 0 \le j,r \lt (p-1)/3  が一意的に存在する。 z= \bar{k} /w とおくと z \in S_{0} なので z=α^{3s} と書ける。

 x=α^{s}, y=α^{r+s} とすれば

   x^{3}+y^{3}=α^{3s}+α^{3(s+r)}=α^{3s} \cdot (1+α^{3r})=z \cdot w= \bar{k}  

xⅹ\cdot α^{(p-1)/3}, ⅹ\cdot α^{2(p-1)/3}, yy \cdot α^{(p-1)/3}, y \cdot α^{2(p-1)/3} としてもこれらの3乗和は  \bar{k} となる。つまり (x^{3},y^{3}) \in F_{p}^{*} \times F_{p}^{*} を固定した時、x^{3}+y^{3}= \bar{k} の解 (x,y) \in F_{p}^{*} \times F_{p}^{*} は解があれば9個となる。

 また、x^{3}+y^{3}= \bar{k}x または y0 となる解は \bar{k} \in S_{0} のときのみ存在し、x=0 の解が 3 つ, y=0 の解が 3 つで計 6 つである。

 以上より k \in S_{0} のとき x^{3}+y^{3}= \bar{k} の解の個数は ( \# S_{0}⋂T_{0}) \times 9+6 に等しい。

k \in S_{1},S_{2} のとき x^{3}+y^{3}= \bar{k} の解の個数は ( \# S_{1}⋂T_{0}) \times 9, ( \# S_{2}⋂T_{0}) \times 9 に等しい。

(証明終)

 

4. x^3+y^3=k の解の個数

 3に記した補題1より、x^{3}+y^{3}=k の解の個数を求めるためには、 \# (S_{i}⋂T_{0}) (i=0,1,2) を求めればよい。メモ44の「最終解答」で示していた、以下の補題2が成り立つ。

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補題2 有限体 F_{p}(p \ne 7,13) において αF_{p}^{*} の原始根とする。このとき

 4p=A^{2}+27B^{2}, \ A≡1 \ (mod \ 3) , \ A≡-3(2α^{(p-1)/3}+1) \cdot B \ (mod \ p)  なる整数 A, \ B が一意的に定まり、 

  \# (S_{0}⋂T_{0})=(A+p-8)/9

  \# (S_{1}⋂T_{0})=(-A+9B+2p-4)/18

  \# (S_{2}⋂T_{0})=(-A-9B+2p-4)/18 

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(証明)

 以下の順序で証明する

a. \omega =(-1+\sqrt(-3) )/2 とするとき、次の写像 F

 \hspace{20pt} Z [ \omega ] \rightarrow  F_{p}

\hspace{15pt}  a+b \omega \mapsto a+b \cdot \alpha^{(p-1)/3}

は、環準同型となり、その核は、(A+3 \sqrt(-3) \cdot B)/2 で生成される素イデアルである。

 b. \ N_{0}= \# (S_{0}⋂T_{0}) +1, \ N_{1}=\# (S_{1}⋂T_{0}), \ N_{2}=\# (S_{2}⋂T_{0}) とするとき、 A=9N_{0}-p-1 かつ、  \{ A+ 3 \sqrt(-3) \cdot B \} /2 =-1+3(N_{0}+ N_{1} \omega + N_{2} \omega ^{2} ) である。

 c. \ B=N_{1}-N_{2} である。

 d. 命題の主張がなりたつ。

 

 a の証明について

F が加法について準同型であることはあきらか。

(a+b \omega)(c+d \omega)=ac+(bc+ad) \omega +bd \omega^{2} \\ =ac-bd+(ad+bc-bd) \omega

 \alpha は原始根なので

\alpha^{p-1}=1, \ \alpha^{(p-1)/3} \neq 1

である。これより、

 \alpha^{(p-1)2/3}+\alpha^{(p-1)/3}+1=0

したがって、

 (a+b \alpha^{(p-1)/3})(c+d \alpha^{(p-1)/3})=ac+(ad+bc) \alpha^{(p-1)/3}+bd \alpha^{(p-1)2/3} \\ = ac-bd+(ad+bc-bd) \alpha^{(p-1)/3}

等より、環準同型となる。

 次に  p≡1 \ (mod \ 3) なる素数について、4p=A^{2}+27B^{2}, \ A≡1 \ (mod \ 3) なる A, B について  A は一意に定まり、  B は符号を除いて定まることはよく知られている。

 A^{2}+27B^{2}≡(A+3(2α^{(p-1)/3}+1) \cdot B)( A-3(2α^{(p-1)/3}+1) \cdot B) \ (mod \ p)因数分解できるので、A≡-3(2α^{(p-1)/3}+1) \cdot B \ (mod \ p) により B の符号が定まる。

 このとき、F( \{ A+3 \sqrt(-3) \cdot B \} /2)= \{ A+3(2 \alpha^{(p-1)/3}+1)B \} /2 ≡0 \ (mod \ p) より

 \{ A+3 \sqrt(-3) \cdot B \} /2写像  F の核に含まれる。また、

 \{ A+3 \sqrt(-3) \cdot B \} /2) \{ A-3 \sqrt(-3) \cdot B \} /2=p より \{ A+3 \sqrt(-3) \cdot B \} /2 より生成されるイデアルは素イデアルであることがわかる。

 

 b の証明について

 メモ43の解答より  A=9N_{0}-p-1 である。

A≡-3(2α^{(p-1)/3}+1) \cdot B \ (mod \ p)9B=A(2 \alpha^{(p-1)/3}+1) \ (mod \ p) が同値であることに注意すると、メモ44に記した lemma 2.7 により、

 \chi を有限体 F_{p} の位数3の乗法的指標とすると、

     J( \chi , \chi)=(A+3 \sqrt(-3) B)/2

ここで J はヤコビ和、α は  \chi (α) = \omega となる F_{p} の原始根である。

ヤコビ和の定義より

J( \chi, \chi)=\displaystyle \sum_{x,y \in F_{p} \\ x+y=1} \chi (x) \chi (y) = \displaystyle \sum_{x \in F_{p} } \chi (x) \chi (1-x) 

 \hspace{20pt} = \displaystyle \sum_{x \in S_{0} } \chi (x) \chi (1-x) + \displaystyle \sum_{x \in S_{1} } \chi (x) \chi (1-x) +\displaystyle \sum_{x \in S_{2} } \chi (x) \chi (1-x)  

第1項は

  \displaystyle \sum_{x \in S_{0} } \chi (x) \chi (1-x) = \displaystyle \sum_{x \in S_{0} \cap T_{0} } \chi (x) \chi (1-x) +\displaystyle \sum_{x \in S_{0} \cap T_{1} } \chi (x) \chi (1-x) +\displaystyle \sum_{x \in S_{0} \cap T_{2} } \chi (x) \chi (1-x) 

x \in S_{0} \cap T_{0}x=α^{3l}=1+α^{3k} と表せるので

  \displaystyle \sum_{x \in S_{0} \cap T_{0}} \chi (x) \chi (1-x) =  \displaystyle \sum_{x \in S_{0} \cap T_{0} \\ x= \alpha^{3l}=1+ \alpha^{3k} } \chi ( \alpha^{3l}) \chi ( \alpha^{3k}) =N_{0}-1

x \in S_{0} \cap T_{1}x=α^{3l}=1+α^{3k+1} と表せるので

  \displaystyle \sum_{x \in S_{0} \cap T_{1}} \chi (x) \chi (1-x) =  \displaystyle \sum_{x \in S_{0} \cap T_{1} \\ x= \alpha^{3l}=1+ \alpha^{3k+1} } \chi ( \alpha^{3l}) \chi ( \alpha^{3k+1}) =N_{1} \omega

x \in S_{0} \cap T_{2}x=α^{3l}=1+α^{3k+2} と表せるので

  \displaystyle \sum_{x \in S_{0} \cap T_{2}} \chi (x) \chi (1-x) =  \displaystyle \sum_{x \in S_{0} \cap T_{2} \\ x= \alpha^{3l}=1+ \alpha^{3k+2} } \chi ( \alpha^{3l}) \chi ( \alpha^{3k+2}) =N_{2} \omega^{2}

よって、第1項は、

  \displaystyle \sum_{x \in S_{0} } \chi (x) \chi (1-x) =-1+N_{0}+N_{1} \omega +N_{2} \omega^{2}

同様に第2項、第3項を求めると、

  \displaystyle \sum_{x \in S_{1} } \chi (x) \chi (1-x) =N_{1} \omega +N_{2} \omega^{2} +N_{0}

  \displaystyle \sum_{x \in S_{2} } \chi (x) \chi (1-x) =N_{2} \omega^{2} +N_{0} +N_{1} \omega

よって、

J( \chi, \chi )=-1+3(N_{0}+N_{1} \omega +N_{2} \omega^{2} )

 

 c の証明について

 b より

  \{ A+ 3 \sqrt(-3) \cdot B \} /2 =-1+3(N_{0}+ N_{1} \omega + N_{2} \omega ^{2} )

である。これを F の像として F_{p} で考えれば、

  \{ A+3( 2 \alpha^{(p-1)/3}+1) B \} /2 =-1+3 \{ N_{0}+N_{1}α^{(p-1)/3}+N_{2} α^{(p-1)2/3} \} \\ \hspace{30pt} =-1+3 \{ N_{0}+N_{1}α^{(p-1)/3}-N_{2}-N_{2} α^{(p-1)/3} \} \\  \hspace{30pt} =-1+3(N_{0}-N_{2})+3α^{(p-1)/3}(N_{1}-N_{2})

 A=9N_{0}-p-1 に注意すれば、

9N_{0}-p-1+3(2α^{(p-1)/3}+1)B≡-2+6(N_{0}-N_{2})+6α^{(p-1)/3}(N_{1}-N_{2}) \ (mod \ p)
3(2α^{(p-1)/3}+1)B≡-1-3N_{0}-6N2+6α^{(p-1)/3}(N_{1}-N_{2}) \ (mod \ p) \\ \hspace{30pt} ≡-1+3(N_{1}-(p-1)/3)-3N_{2}+6α^{(p-1)/3}(N_{1}-N_{2}) \ (mod \ p) \\ \hspace{30pt} ≡3(N_{1}-N_{2})+6α^{(p-1)/3}(N_{1}-N_{2}) \ (mod \ p)

(2α^{(p-1)/3}+1)^{2}≡-3 \neq 0  
よって B≡N_{1}-N_{2} \ (mod \ p)   B は符号のみが定まらなかったので B=N_{1}-N_{2} である。

 

 d の証明について

メモ43の問題の解答より

 B \gt 0であれば、指数1の元の個数 N_{1} は指数2の元の個数 N_{2} より大きいので

N_{1}=(-A+9B+2p-4)/18

 B \lt 0 であれば、指数1の元の個数 N_{1} は指数2の元の個数 N_{2} より小さいので

N_{1}=(-A+9B+2p-4)/18

N_{0}+N_{1}+N_{2}= \# S_{0} \cap T_{0}+1+ \# S_{1} \cap T_{0}+ \# S_{2} \cap T_{0}=(p-1)/3 かつ  \# S_{0} \cap T_{0}=(A+p-8)/9 より

N_{2}=(-A-9B+2p-4)/18

(証明終)

 

冒頭に掲げた命題とその証明を下に記す。

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命題 有限体 F_{p} \ (p≡1 \ (mod \ 3), p \ne 7,13) において、A, \ B4p=A^{2}+27B^{2}, \ A≡1 \ (mod \ 3) として、A は一意的に定まり、B は符号を除いて定まる整数とする。 

F_{p} における不定方程式 x^{3}+y^{3}=k (k自然数 p∤k ) の解の個数(無限遠点を除く) E_{p} は以下のとおり。

 ① kmod \ p で3乗剰余のとき  E_{p}=A+p-2  

 ②  kmod \ p で3乗剰余でないとき、 B の符号を A≡-3(2 \cdot k^{(p-1)/3}+1) \cdot B \ (mod \ p) で定めると

   E_{p}=(-A+9B+2p-4)/2

 

 無限遠点まで含めた解の数は、E_{p} に3を加えればよい。

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(証明)

①の場合

 補題1,2により E_{p}=(A+p-8)/9 \cdot 9+6=A+p-2

②の場合

 kmod \ p で3乗剰余でないとき、αF_{p}^{*} の原始根とすると k≡α^{r} と表したとき

 r≡1 または 2 \ (mod \ 3) である。

 r≡1 \ (mod \ 3) のとき 

  k^{(p-1)/3}≡(α^{r})^{(p-1)/3}≡α^{r \cdot (p-1)/3}≡α^{(p-1)/3} \ (mod \ p)

よって、本命題の B補題2の B は等しい。

また、kF_{p}^{*} での像を  \bar{k} とするとき  \bar{k} \in S_{1} よって、補題1,2により 解の個数は (-A+9B+2p-4)/2 に等しい。

 r≡2 \ (mod \ 3) のとき

 k^{(p-1)/3}≡(α^{r})^{(p-1)/3}≡α^{r} \cdot (p-1)/3≡α^{2(p-1)/3} \ (mod \ p)

したがって、

α^{2(p-1)/3}+α^{(p-1)/3}+1≡0 \ (mod \ p) に注意すると

A+3(2 \cdot k^{(p-1)/3}+1) \cdot B≡A+3(2 \cdot α^{2(p-1)/3}+1) \cdot B \\  \hspace{10pt} ≡A+3(-2 \cdot α^{(p-1)/3}-2+1) \cdot B \\ \hspace{10pt} ≡A-3(2α^{(p-1)/3}+1) \cdot B \ (mod \ p)

よって、本命題で定める B補題2で定める B の符号は逆である。

また、kF_{p}^{*} での像を  \bar{k} とするとき  \bar{k} \in S_{2}

よって、補題1,2により 解の個数は (-A+9B+2p-4)/2 に等しい。

 よって E_{p}=(-A+9B+2p-4)/2

 

 無限遠点での解は x^{3}+y^{3}=0 の解で xy \ne 0 となるものであり、定数倍は同一視する。よって x=1 としてよい。そうすると解 (x,y)(1,-1),(1,-α^{(p-1)/3)},(1,-α^{2(p-1)/3}) の3つである。 

(証明終)