1. はじめに
メモ40で以下の予想を示し、 または
のとき以外では予想が正しいことを示した。
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【予想】
を
以外の素数とするとき、以下の有限体
の乗法群
から
への写像は全射である。
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または
かつ
のときでも、予想が成り立つことがわかったので、メモとして記すこととする。相変わらず分かりにくい証明なので、スカッと説明できる証明があれば是非ご教示下さい。
2. 予想の証明
メモ40では、以下の命題1,2をもとに予想の写像の全射性を示した。
命題1: のとき
の中で、
及び
の形の元が存在する。ただし、
は素数
に関する原始根とする。
命題2: のとき
の中で
の形の元が存在する。ただし、
は素数
に関する原始根とする。
予想を証明するには、命題2が という条件がなくとも成り立つことを示せばよい。
このため、以下の命題が成り立つことを示す。
命題2’: のとき、
の中で
の形の元が存在する。ただし、
は素数
に関する原始根とする。
(証明)
の元を
と並べる。これらを
であらわしたとき、
でのべき指数
を単にべき指数と呼ぶことにする。
に対し、
と
のべき指数は同じである。つまり、
と
を境にべき指数は鏡像の関係にあることに注意する
なので
のべき指数は
である。
命題を証明するには、べき指数 の元が隣接しないとして矛盾することをいえばよい。
のべき指数は
であるので
のべき指数は
か
である。今、
のべき指数を
であるとする。
すると のべき指数は
である。
のべき指数を
とすると
であり
及び
のべき指数は
であるので矛盾。したがって、
のべき指数は
か
である。
次に なのでべき指数
の元は
つ以上ある。
でないべき指数
の元の両側の元のべき指数は
である。べき指数
の元を
とし
と
のべき指数が同一でないとすると、そのべき指数は
ではないので、
のべき指数は
である。
なのでべき指数
の元が隣接することになる。
また、両側のべき指数が とすると
となる自然数
が存在する。
なので
のべき指数が
であることから、
のべき指数は
となる。これは、べき指数
の元が隣接することになり矛盾。
さらに、 とすると
であるので、両者の差をとって
これより、 のべき指数は
であることがわかる。
以上により、 でも
でもないべき指数
の元の両側はべき指数
の元であることが分かった。
そうすると、べき指数 の元の総数は
であり、
と
を境にべき指数は鏡像の関係にあるので
から
までの間で、べき指数
の元の総数は
であり、
のべき指数は
である。
したがって、 から
までの間で
ではないべき指数
の元の両側はべき指数
の元であり、
のべき指数は
であるので、
が
より大きな場合、つまり
であれば
ではないべき指数
の元の間隔は
でなければならず、かつ、べき指数
の元はべき指数
の元に隣接しなければならない。つまり、可能性としては
のべき指数が
か
に応じて以下の
ケースあるのみである。
数 ケース① ケース② [ ]はべき指数をあらわす。
1 [0] [0]
2 [1] [1]
3 [1] [2]
4 [2]
5 [0]
6 [2]
7
8 [0]
ケース①
は
なので、
のべき指数は
。したがって
のべき指数は
であり。すると、
のべき指数は
となる。
なのでべき指数は
である。そうすると、
のべき指数が0であれば、べき指数
の元が隣接する。べき指数が
でなければ、べき指数
の元の間隔が
となり矛盾。
ケース②
のべき指数が
とすると、隣接する
のべき指数は
である。一方、
なのでべき指数は
であり、矛盾する。
最初に のべき指数を
と仮定したが
の場合も同様の議論が成り立つ。 (証明終)