1.はじめに
Silverman Tate のRational Points on Elliptic Curves(以下,[Sil]と記す)の第4章の練習問題を(未解答を含め)解いてみた結果を記したメモの(その3)です。その2で問題4.8と4.10に言及したので今回はその解答の試みをメモしました。
2. 問題
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【問題4.8】
を素数、 とする。このとき、以下を示せ。
(a) は 個の解 を有する。
(b) が(a)の解であれば、
は楕円曲線 の点である。
(c) (b)で定義される曲線 について である。
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解答の流れ
(a) より
とおくと、 なので であり、 となる。
また、 なので、 を与えれば(a)の解が2個あるか、1個もないことになる。
が同じ を定めるのは、
とすると より、 である。 とすれば つまり、同じ を与えるのは のみである。
が を動くとき、 も を動く。 とならなければ、 を与える解 が2つ定まるが、 も同じ を与えるので解の個数は となる。 となるのは のときである。つまり のときである。この解の個数は0か2である。0のときは、すでに与えられた方程式の解の個数が 個であることを示した。解が2個のときは、解でない 個の については、それぞれ2個解があるが、 と でダブルカウントするので結局解の個数は である。 のときは で解は一つであるが、 なので、 について解が一つづつ、計 個の解がある。
(b) として の式の値を計算すると
であるので(b)がいえた。
(c) であるので したがって、 である。
とすると であり、 となる。したがって、 は単射である。 の解は のみであるので、原点である無限遠点を加え である。
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【問題4.10】
を素数、 とする。このとき、以下を示せ。
曲線 について
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解答の流れ
は乗法に関し位数 の巡回群をなし、 なので、 のとき、 は の同型写像。したがって、 が を動くとき は 全体を動く。また、 は から への全単射。 の元の個数は 個であるが、その内訳は、0と に関する平方剰余が 個、平方非剰余が 個であり、 が平方剰余のときに解が2個、平方非剰余のとき解は0個である。
したがって、 の場合の の 点は 個である。 となる場合は解が一つ。これに原点を加え である。