ES 地面の目印

以前の数学メモは、地面の目印 -エスワン- にあります。

メモ17 2つの立方数の和を3とおりに表すパラメータ解を求めて(その3)

メモ16の続きである。

 

③ 立方数を2とおりであらわす特殊な場合として3とおりを考える (ぼちぼち)

b. たまたま見つかったパラメータ解

 メモ16に書いたとおり、2つの立方数で3とおりに表せる数があれば、その数から2とおりに表せるパラメータ解と楕円曲線が得られその楕円曲線の有理点から、3とおりに表せる数が得られることをみた。例では、2つの自然数の立方の和を3とおりに表せる最小の数である 87,539,319 を取り上げた。

 他の例でもと思い、2つの正とは限らない立方数の和で3とおりに表せる最小の数である 4104 を取りあげてみた。

 

15^3+9^3=16^3+2^3=18^3-12^3=4104

 

である。最初に u,v の対称解を求める。

 

 \begin{eqnarray}\left\{\begin{array}{l}m=kpqr\\p=au^2+bluv+clv^2\\q=du^2+eluv+dlv^2 \\ r=cu^2+bluv+alv^2 \\t=Au^2+Bluv+Clv^2\\t_2=Cu^2+Bluv+Alv^2\end{array} \right.\end{eqnarray}

 

とおいて、 a,b,c,kd,ke,A,B,C,lを求めるのである。

このとき、成り立つべき式は、4m/p-p^2=3t^2 より

 

 \begin{eqnarray}\left\{\begin{array}{l}4kdc-a^2=3A^2\hspace{147pt}(1)\\4kdb+4kec-2ab=6AB\hspace{107pt}(2)\\4kda+4kdc+4kebl-2ac-b^2l=3(2AC+B^2l)\hspace{10pt}(3) \\ 4kea+4kdb-2bc=6BC\hspace{107pt}(4)\\4kad-c^2=3C^2\hspace{147pt}(5)\end{array} \right.\end{eqnarray}

 

4\cdot4104/24-24^2=3\cdot6^2

4\cdot4104/18-18^2=3\cdot14^2

 

より、a=24,c=18,A=6,C=14, kd=19/2 である。次に、(2)、(4)を ke,B連立方程式とみて解くと

 

4\cdot 19/2\cdot b+4ke\cdot 18-2\cdot 24b=6\cdot 6B

4ke\cdot 24+4\cdot19/2\cdot b-2\cdot 18b=6\cdot 14B

 

より、 ke=\frac{19}{54}b,B=\frac{23}{54}b である。これらを(3)に代入して

 

4\cdot 19/2\cdot 24+4\cdot 19/2\cdot 18+4\cdot 19/54\cdot b^2l\\-2\cdot 24\cdot 18-b^2l=3(2\cdot 6\cdot 14+23^2/54^2\cdot b^2l)

 

より、 b^2l=108^2/7 を得る。よって、b=108/7,l=7 としてよい。

これから、ke=38/7,B=46/7 を得る。以上より、

 

 \begin{eqnarray}\left\{\begin{array}{l}p=24u^2+108uv+126v^2\\kq=19/2u^2+38uv+133/2v^2 \\ r=18u^2+108uv+168v^2 \\t=6u^2+46uv+98v^2\\t_2=14u^2+46uv+42v^2\end{array} \right.\end{eqnarray}

 

また、

 

\frac{p+t}{2}=15u^2+77uv+112v^2, \frac{p-t}{2}=9u^2+31uv+14v^2

\frac{r+t_2}{2}=16u^2+77uv+105v^2, \frac{r-t_2}{2}=2u^2+31uv+63v^2

 

より、以下の u,v の対称解が求まる。

 

\hspace{10pt}(15u^2+77uv+112v^2)^3+(9u^2+31uv+14v^2)^3\\=(16u^2+77uv+105v^2)^3+(2u^2+31uv+63v^2)^3\\=(24u^2+108uv+126v^2)(19/2u^2+38uv+133/2v^2)(18u^2+108uv+168v^2)

 

次に、18^3-12^3=4104 を利用してメモ16の例のように楕円曲線を求めようとした。

 

 4\cdot4104/6-6^2=3\cdot30^2

 

であるので、d=6, k=19/12 として 3t_3^2=4m/q-q^2 を計算すると

不思議なことに

 

3t_3^2=3 (30u^2 + 158uv + 210v^2)^2 となる。したがって、

 

q=6u^2+24uv+42v^2, t_3=30u^2 + 158uv + 210v^2

 

より

 

\frac{q+t_3}{2}=18u^2+91uv+126v^2, \frac{q-t_3}{2}=-12u^2-67uv-84v^2

 

となり、

 

 \hspace{10pt}(15u^2+77uv+112v^2)^3+(9u^2+31uv+14v^2)^3\\=(16u^2+77uv+105v^2)^3+(2u^2+31uv+63v^2)^3\\=(18u^2+91uv+126v^2)^3+(-12u^2-67uv-84v^2)^3

 

と求める2つの立方数の和を3とおりに表すパラメータ解が得られる。

残念ながら、u,v にどんな実数を代入してもカッコの中の数がすべて同時に正となることはない。すでに公開したメモ14では、このパラメータ解を用いて、u,v の8次式として、u,v を正とすれば2つの立方数の和を自然数で3とおりに表すパラメータ解を示した。

 

CoCalcを用いて計算してみたところ、このように、2つの立方数の和を3とおりに表す整数解から、u,v の式の対称性を用いて、2つの立方数の和を2とおりに表すパラメータ解を求め、それが3とおりに表すパラメータ解にもなっている例は他にもある。ただ、u,v にどんな実数を与えても、すべて同時に正となる解は得られていない。