ES 地面の目印

以前の数学メモは、地面の目印 -エスワン- にあります。

メモ24 タクシー数:2通りに表せる場合とn(>2)通りに表せる場合(その3)

1.はじめに

 メモ22,23の「タクシー数:2通りに表せる場合とn(>2)通りに表せる場合」のその1と2で、3乗の違いを無視すれば、タクシー2もタクシーn(>2)も同じであることを書いたが、その検討の際にいくつか気づいたことがあった。それについて、備忘録としてメモしておく。あわせて、メモ22,23の結果をもとにした、タクシー3の探索法について記す。但し、あまり良い結果は得られない。

 最初に用語の定義や得られた命題等を書いておく。

  • タクシー2:2つの自然数の3乗の和として2通りに表せる自然数
    mをタクシー2とすると 有理数a,b≠0,t≠0が存在して
    p_{1}=6tb(a^{2}+3b^{2}), A_{1}=2t \lbrace (1-a(a^{2}+3b^{2}) \rbrace \hspace {10pt} p_{1} \gt A_{1} \gt 0
    p_{2}=6tb, A_{2}=2t \{ a-(a^{2}+3b^{2})^{2} \} \hspace{10pt}  p_{2} \gt A_{2} \gt 0
    m= \{ (p_{1}+A_{1})/2 \}^{3}+ \{ (p_{1}-A_{1})/2 \}^{3}= \{ (p_{2}+A_{2})/2 \}^{3}+ \{ (p_{2}-A_{2})/2 \} ^{3}
    となる。
  • タクシーn (nは2以上の自然数):2つの自然数の3乗の和としてn通りに表せる自然数
  • 広義タクシーn:2つの有理数の3乗の和でn通りに表わされる0でない有理数
  • Tn:タクシーnの集合。以下で表わされる。                Tn = \{ m∈N:相異なる∃x_{1},y_{1}, ⋯, x_{n},y_{n}∈N, x_{1}^{3}+y_{1}^{3}=⋯=x_{n}^{3}+y_{n}^{3} \}
  • Wn:広義タクシーnの集合。以下で表わされる。                WTn= \{ m∈Q^{*}:相異なる∃x_{1},y_{1},⋯,x_{n},y_{n}∈Q,x_{1}^{3}+y_{1}^{3}=⋯=x_{n}^{3}+y_{n}^{3} \}
  • ~:以下で定義されるTn(Wn)における同値関係              m, m′∈T_{n} (WT_{n}) に対し、m~m′ ∃s∈Q^{*},m=s^{3}m′ とする。
  • R:以下で定義される有理数の乗法群Q^{*}における同値関係(メモ22ではRkと書いた同値関係)                               x,y∈Q^{*} に対しxRy (1+3x^{2})/(1+3y^{2})∈(Q^{*})^{3} とする。
  • 写像 \hat {F}T_{n}/~ \hspace{5pt} → \hspace{5pt} Q^{*}/R が定まる。      [ m ] \in T_{n}/~ に対し  m=x_{1}^{3}+y_{1}^{3}=⋯=x_{n}^{3}+y_{n}^{3} のとき \hat {F} ( [ m ] )= [ (x_{1}-y_{1})/(x_{1}+y_{1}) ]
  • メモ22の命題6:WT_{2}=・・・=WT_{n} (n \gt 2)
  • メモ23の命題7:T_{2}/~=T_{n}/~ (n \gt 2) 

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命題8 写像 \hat {F} :T_{n}/~ → (Q^{*}- \{ ±1 \} )/R は単射であり、その値域は(0,1)/Rである。
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(説明)付記1を参照のこと           (説明終)

2.みんな 楕円曲線 y^{2}=x^{3}-432r^{2} に関係してくる 

 タクシー数関係をいろいろさわっているうちに、y^{2}=x^{3}-432r^{2} の形の楕円曲線に3回遭遇した(以下の(1),(2),(3))。

(1)  (E_{1}) \hspace{10pt} x^{3}+y^{3}=m (W_{1}) \hspace{10pt} t^{2}=s^{3}-432m^{2} と双有理同値 
 平面3次曲線 E_{1} は、 タクシー数そのものに関係する。1.で定義したタクシーnとは、 E_{1} の点である自然数のペア (x,y) がn個あることである。
メモ12 タクシー数と楕円曲線:rank 2以上の楕円曲線がどんどん出てくる」の最初の部分に記したが、平面3次曲線 E_{1}とそのWeierstrass標準形 W_{1} との間には以下の関係がある。

 \hspace{20pt} s=12m/(x+y) \hspace{40pt} x=(36m+t)/(6s)
 \hspace{20pt} t=36m(x-y)/(x+y) \hspace{8pt} y=(36m-t)/(6s)

 したがって、W_{1} の有理点で、上の変換式で E_{1} の有理点に変換したとき、それの座標が自然数となるものがn個ある時、それがタクシーnである。

(2) 平面3次曲線 (E_{2}) \hspace{10pt} x^{3}+3kx^{2}y+3xy^{2}+9ky^{3}-1=0 (k≠0、±1) は、(W_{2}) \hspace{10pt} t^{2}=s^{3}-432 \{ 2/27(1+3k^{2}) \} ^{2}と双有理同値 
 メモ19に楕円曲線 (E_{2}) と双有理同値なWeierstrass標準形を示したが、実は以下に示す通り、 W_{2} のようなさらに簡単な形に変換できることが分かった(Webサイトで楕円曲線の有理点等に関する豊富なデータを提供しているNakaoさんからのご指摘による)。

 \hspace{10pt} x^{3}+3kx^{2}y+3xy^{2}+9ky^{3}-1=0 を変形して
 \hspace{10pt} (x+3ky)(x^{2}+3y^{2})=1 \hspace{40pt}       (1)
 \hspace{10pt} S=x+3ky

 \hspace{10pt} T=-kx+y
とおくと、
 \hspace{10pt} x=(S-3kT)/(1+3k^{2})

 \hspace{10pt} y=(kS+T)/(1+3k^{2})

 \hspace{10pt} x^{2}+3y^{2}=1/(1+3k^{2})^{2} \{ (S-3kT)^{2}+3(-kS+T)^{2} \} \\  \hspace{50pt} =1/(1+3k^{2})^{2}(1+3k^{2})(S^{2}+3T^{2}) \\  \hspace{50pt} =(S^{2}+3T^{2})/(1+3k^{2})
これを(1)に代入して、
 \hspace{10pt} S(S^{2}+3T^{2})/(1+3k^{2})=1 
  \hspace{10pt} 3ST^{2}=-S^{3}+(1+3k^{2})
両辺に 2^{6}/3^{3}(1+3k^{2})^{2}/S^{3} をかけて
 \hspace{10pt} (8/3(1+3k^{2})T/S)^{2}=-2^{6}/3^{3}(1+3k^{2})^{2}+ \{ 4/3(1+3k^{2})/S \}^{3}
 \hspace{10pt} s=4/3(1+3k^{2})/S, t=8/3(1+3k^{2})T/S とおけば
 \hspace{10pt} t^{2}=s^{3}-432 \{ 2/27(1+3k^{2}) \} ^{2}
また,x,yとの関係は

\begin{eqnarray}
  \left\{
    \begin{array}{l}
          s=4/3 \cdot (1+3k^{2})/(x+3ky) \\
          t=8/3 \cdot (1+3k^{2})(-kx+y)/(x+3ky)  \hspace{20pt} (2)
    \end{array}  \right.
    \end{eqnarray} 

\begin{eqnarray}
  \left\{
    \begin{array}{l}
          x= \{ 8(1+3k^{2})-9kt \} / \{ 6s(1+3k^{2}) \} \\
          y= \{ 8k(1+3k^{2})+3t \} / \{ 6s(1+3k^{2}) \} \hspace{30pt} (3)
    \end{array}  \right.
    \end{eqnarray} 

この W_{2}  E_{2} 間の双有理変換を  Ψ:W_{2} \rightarrow E_{2}, Ψ^{-1}:E_{2} \rightarrow W_{2} で表すこととする。
 なお、メモ19で報告した変換からも W_{2} が得られることも確認した。この双有理変換を  φ:W_{2} (S,T)→E_{2} (x,y) とする。結果だけここに記す。

 φ(S,T)=(B/A、C/A)
ここで、
\hspace{5pt} A=9(k^{2}-1)S^{2}-12(k^{2}-1)^{2}S+12k(k^{2}+3)T+32(3k^{2}+1)^{2}
\hspace{5pt}  B=9(k^{2}-1)S^{2}-24S(5k^{2}-1)-6Tk(k^{2}-9)-16(13k^{4}+18k^{2}+1)
\hspace{5pt}  C=2 \{ 12k(k^{2}+3)S+9(k^{2}-1)T-8k(k^{2}-1)(k^{2}+3) \}

 φ^{-1}(x,y)=(4/3/(x+ky-1) \{ 2(k^{2}-1)x-8ky+(k^{2}-1) \} , \\ -8/3/(x+ky−1)^{2} \{k(k^{2}+3)x^{2}+k(13k^{2}-9)y^{2}-(k^{4}-12k^{2}+3)xy-k(k^{2}+3) \} )

詳しくは付記2を参照のこと。

(3)同値関係 R でkと同値な有理数k’は  (W_{3}) \hspace{10pt} t^{2}=s^{3}-432 \{ (3k^{2}+1)/4 \} ^{2} の有理点より得られる。

 kRk’ とは、有理数 l に対し、(1+3k’^{2})/(1+3k^{2})=l^3   を意味する。
この式を書き換えると 
\hspace{10pt} 1+3k’^{2}=(1+3k^{2})l^{3}
\hspace{10pt} 3k’^{2}=(1+3k^{2})l^{3}-1
両辺に 3^{3}(1+3k^{2})^{2} を掛けて
 \hspace{10pt} \{ 9(1+3k^{2})k’ \}^{2}= \{ 3(1+3k^{2})l \}^{3}-432 \{ (1+3k^{2})/4 \}^{2}
したがって、k’は楕円曲線  t^{2}=s^{3}-432 \{ (1+3k^{2})/4 \}^{2} の有理点 (s,t) より k'=t/ \{ 9(1+3k^{2}) \} で与えられる。
 なお、 W_{2} 上の点を (s,t)W_{3}上の点を (s',t') とすれば、W_{2}W_{3} の間には
\hspace{10pt} s’=(3/2)^{2}s,  t’=(3/2)^{3}t \hspace{30pt} (4)
の関係がある。

3.平面3次曲線   (E_{2}) \hspace{10pt} x^{3}+3kx^{2}y+3xy^{2}+9ky^{3}-1=0 (k≠0、±1) の有理点

 E_{2}W_{2} の間の2つの双有理変換が得られたこと、W_{2}W_{3} の間の双有理変換が得られたことから、どれかの曲線の有理点がわかれば、他の曲線の有理点が導かれる。
 平面3次曲線 E_{2} のすぐにわかる有理点として(1,0)がある。変換式(2)より W_{2} の有理点 (4/3(1+3k^{2}),-8/3k(1+3k^{2})) を得る。したがって、(4/3(1+3k^{2}),8/3k(1+3k^{2}) もまた W_{2} の有理点である。これに変換式(3)を適用しE_{2} の有理点 ( (1-3k^{2})/(1+3k^{2}),2k/(1+3k^{2})) を得る。下表にこうして得られた有理点をいくつか示す。

E2とW2の有理点の例

4.タクシー3の探索

 mをタクシーn(n>2)とすると、自然数 x_{1},y_{1},....., x_{n},y_{n}  が存在して
m=x_{1}^{3}+y_{1}^{3}=x_{2}^{3}+y_{2}^{3}= ....... =x_{n}^{3}+y_{n}^{3} である。
ここで、x_{i} \gt y_{i} とすれば これらが定める k_{i}=(x_{i}-y_{i})/(x_{i}+y_{i}) 区間(0,1)にふくまれ、全て関係Rで同値である。逆に、同値な有理数 k_{i}(i=1,....,n)区間(0,1)含まれれば、有理数 l_{i}(i=2,...,n) が存在して、(1+3k_{i}^{2})=l_{i}^{3}(1+3k_{1}^{2}) である。したがって、

\hspace{5pt} ( \frac{1+k_{i}}{2} )^{3}+( \frac{1-k_{i}}{2} )^{3}= \frac{1+3k_{i}^{2}}{4}=l_{i}^{3} \cdot \frac{1+3k_{1}^{2}}{4}=(l_{i} \cdot  \frac{1+k_{1}}{2})^{3}+(l_{i} \cdot \frac{1-k_{1}}{2})^{3}

 この式の両端の式が自然数の3乗の和となるよう分母を払ってやれば、自然数 x_{i},y_{i} が存在して k_{i}=(x_{i}-y_{i})/(x_{i}+y_{i}) 、かつ、x_{i}^{3}+y_{i}^{3}=x_{1}^{3}+y_{1}^{3} となる。 (x_{i},y_{i}) は全て異なる自然数のペアとなりタクシーnが得られる。
 よって、タクシー3を見つけるには、区間(0,1)に含まれる同値な k を3個見つければ良い。言い換えれば、区間(0,1)に含まれる有理数 k について、
 (W_{3}) \hspace{10pt} t^{2}=s^{3}-432 \{ (3k^{2}+1)/4 \} ^{2} の有理点で t/ \{ 9(1+3k^{2}) \} 区間(0,1)に含まれるものを3個見つければよい。Sagemathの機能を使って W_{3} の有理点群の生成元を見つけ、その線形結合として条件に合う有理点を見つけることが考えられるが、試してみたところ k の分母が大きくなると、結果が得られない(得られるのかもしれないが、計算し続けるので途中で打ち切った)。

 一つの探索法は以下のとおり。
① 有理数 a 区間(0,1)から選定する。
② この a について、メモ23の青色領域に入る bを選定する。
③ ①,②で選んだ (a,b) はタクシー2を定めるので、
 \hspace{10pt} p_{1}=6b(a^{2}+3b^{2}) \hspace{5pt} A_{1}=2(1-a(a^{2}+3b^{2}))
\hspace{10pt} p_{2}=6b, A_{2}=2(a-(a^{2}+3b^{2})^{2})
x_{1}=(p_{1}+A_{1})/2,y_{1}=(p_{1}-A_{1})/2, x_{2}=(p_{2}+A_{2})/2, y_{2}=(p_{2}-A_{2})/2 とおくとき、p_{1}/A_{1}=(x_{1}-y_{1})/(x_{1}+y_{1}), p_{2}/A_{2}=(x_{2}-y_{2})/(x_{2}+y_{2}) となる。また、青色領域の定め方より、 p_{1} \gt A_{1} \gt 0, p_{2} \gt A_{2}
よって、p_{1}/A_{1} 区間(0,1)に属す。A_{2} \gt 0 のときは p_{2}/A_{2} 区間(0,1)に含まれる。A_{2} \lt 0 のときは -p_{2}/A_{2}区間(0,1)に含まれる。
 よって、k=p_{1}/A_{1}, k_{2}=p_{2}/A_{2} (A_{2} \gt 0 のとき) または  -p_{2}/A_{2} (A_{2} \lt 0 のとき)とすれば、k,k_{2}とも区間(0,1)に含まれ、しかも関係Rについて同値である。(1+3k_{2}^{2})/(1+3k^{2})=l^{3} とするとき、k,k_{2} から定まる W_{3} の有理点
 (3(1+3k^{2}), 9(1+3k^{2})k), (3(1+3k^{2})l, 9(1+3k^{2})k_{2}) をそれぞれP,Q とおく。
(注:PQW_{3} の有理点群の生成元となるようだ。全ての生成元を尽くすわけではない。)
④ P Q の線形結合より条件にあう W_{3} の有理点を計算する。これはsagemathにより簡単に実施できる。

 a,b の分母が2から26までの範囲で計算したところ、比較的小さなタクシー3として、下表が得られた。

タクシー3の例

 上に示した方法は、k_{3} kk_{2} の線形結合から求めているので、k_{3} の分母は大きな値になっている。おそらく、大きなランクの有理点群をもつ W_{3} からは、かなり小さなタクシーn(n>=3)が得られるのではないだろうか。逆に言うと、既存のタクシーnからランクの大きな楕円曲線 W_{3} が得られるのではないだろうか。

付記

付記1


命題8 写像 \hat {F} :T_{n}/~ → (Q^{*}- \{ ±1 \} )/R単射であり、その値域は(0,1)/Rである。
------------------------------------------------------------------
(説明) 
\hat {F}の値域が (0,1)/R に含まれること。
m を T_{n}/~ における  [ m ] の代表元とすると m=x_{1}^{3}+y_{1}^{3}=... =x_{n}^{3}+y_{n}^{3}
(a_{i},b_{i},t_{i}) が存在して、p_{i}=6t_{i}b_{i}X_{i}, A_{i}=2t_{i}(1-a_{i}X_{i}) ここで X_{i}=a_{i}^{2}+3b_{i}^{2}
x_{i}=(p_{i}+A_{i})/2,y_{i}=(p_{i}-A_{i})/2 ここで x_{i} \gt 0, y_{i} \gt 0, x_{i} \gt y_{i} (i=1, ...  ,n) としてよいので
 \hat {F}( [ m ] )=p_{i}/A_{i}=(x_{i}-y_{i})/(x_{i}+y_{i}) の同値類。したがって  (0,1)/Rに含まれる。
単射であること。 [ m ]、[ m’ ] ∈Tn/~に対し、m、m’ T_{n} における [ m ], [ m’ ] の代表元とする。
そうすると m=x_{1}^{3}+y_{1}^{3}=... =x_{n}^{3}+y_{n}^{3}  m’=x_{1}’^{3}+y_{1}’^{3}=...=x_{n}’^{3}+y_{n}’^{3} 
(a_{i},b_{i},t_{i})が存在して、p_{i}=6t_{i}b_{i}X_{i}, A_{i}=2(1-a_{i}X_{i}) ここで X_{i}=a_{i}^{2}+3b_{i}^{2}
x_{i}=(p_{i}+A_{i})/2,y_{i}=(p_{i}-A_{i})/2  (a_{i}’,b_{i}’,t_{i}’) が存在して、p_{i}’=6t_{i}’b_{i}’X_{i}’, A_{i}’=2t_{i}'(1-a_{i}’X_{i}’) ここで X_{i}’=a_{i}’^{2}+3b_{i}’^{2}, x_{i}’=(p_{i}’+A_{i}’)/2,y_{i}’=(p_{i}’-A_{i}’)/2 
である。今、 [ m ] ~ [ m' ] とすると、A_{i}/P_{i} [ m ] を、A_{i}’/p_{i}’ が  [ m’ ] を代表するとしてよいので、有理数  s_{i} が存在して 1+3(A_{i}/p_{i})^{2}=s_{i}^{3}(1+3(A_{i}’/p_{i}’)^{2}) である。
1+3(A_{i}/p_{i})^{2}=1/p_{i}^{3} \{ p_{i}(p_{i}^{2}+3A_{i}^{2}) \} =4/p_{i}^{3}(x_{i}^{3}+y_{i}^{3})
1+3(A_{i}’/p_{i}’)^{2}=1/p_{i}’^{3} \{ p_{i}’(p_{i}’^{2}+3A_{i}’^{2}) \} =4/p_{i}’^{3}(x_{i}’^{3}+y_{i}’^{3})
したがって、(x_{i}^{3}+y_{i}^{3})=s_{i}^{3}(p_{i}/p_{i}’)^{3}(x_{i}’^{3}+y_{i}’^{3})
これは [ m ] ~ [ m' ] であることを示す。
                                                                       (説明終)

付記2


命題9 3次平面曲線  (E_{2}) \hspace{10pt}x^{3}+3kx^{2}y+3xy^{2}+9ky^{3}-1=0 (k≠0、±1) は、 (W_{2}) \hspace{10pt} T^{2}=S^{3}-432 \{ 2/27(1+3k^{2}) \} ^{2} と双有理同値で ある。変換式は

 φ(S,T)=(B/A、C/A)
ここで、
\hspace{5pt} A=9(k^{2}-1)S^{2}-12(k^{2}-1)^{2}S+12k(k^{2}+3)T+32(3k^{2}+1)^{2}
\hspace{5pt}  B=9(k^{2}-1)S^{2}-24S(5k^{2}-1)-6Tk(k^{2}-9)-16(13k^{4}+18k^{2}+1)
\hspace{5pt}  C=2 \{ 12k(k^{2}+3)S+9(k^{2}-1)T-8k(k^{2}-1)(k^{2}+3) \}

 φ^{-1}(x,y)=(4/3/(x+ky-1) \{ 2(k^{2}-1)x-8ky+(k^{2}-1) \} , \\ -8/3/(x+ky−1)^{2} \{k(k^{2}+3)x^{2}+k(13k^{2}-9)y^{2}-(k^{4}-12k^{2}+3)xy-k(k^{2}+3) \} )

---------------------------------------------

(説明) 「メモ19 ある有理点を有する平面3次曲線のweierstrass標準形への変換」より平面3次曲線  E_{2} は、楕円曲線 (W) \hspace{10pt} t^{2}+a_{1}st+a_{3}t=s^{3}+a_{2}s^{2}+a_4s+a_{6} と双有理同値であり、両者の変換式は以下のとおり。
 \hspace{10pt} s= \{ 2(k^{2}−1)x−2/3(k^{2}+15)ky+2(k^{2}−1) \} /(x+ky−1) 
 \hspace{10pt} t=−8/9y(yk^{7}−5xk^{6}+57yk^{5}−4k^{6}+51xk^{4}−21yk^{3}−24k^{4}+9xk^{2} \\  \hspace{20pt} +27yk−36k^{2}+9x)/ \{ (x+ky−1)^{2}(k^{2}−1) \}

 ここで、 a_{1}=−8k(3+k^{2})/ \{ 3(k^{2}−1) \} , a_{2}=2/ \{ 9(k^{2}−1)^{2} \}(k^{6}−75k^{4}−45k^{2}−9), \\ a_{3}=0, a_{4}=4/3(k^{2}−1)^{2}, a_{6}=8/27(k^{6}−75k^{4}−45k^{2}−9)

   x=B/A
   y=C/A
ここで
  A=9(k^{2}−1)^{2}s^{2}−16k^{2}(k^{2}+3)^{2}s+12k(k^{2}−1)(k^{2}+3)t \\ \hspace{10pt} −4(k^{2}−1)(k^{3}−9k^{2}+3k−3)(k^{3}+9k^{2}+3k+3)
 B=9(k^{2}−1)^{2}s^{2}+4(5k^{6}−51k^{4}−9k^{2}−9)s−6k(k^{2}−1)(k^{2}−9)t \\ \hspace{10pt} +4(k^{2}−1)(k^{3}−9k^{2}+3k−3)(k^{3}+9k^{2}+3k+3) 
 C=18t(k^{2}−1)^{2}
である。

t^{2}+a_{1}st+a_{3}t=s^{3}+a_{2}s^{2}+a_{4}s+a_{6} a_{3}=0 に注意して変形すると
 (t+a_{1}/2 \cdot s)^{2}=s^{3}+(a_{2}+a_{1}^{2}/4)s^{2}+a_{4}s+a_{6}
a_{2}+a_{1}^{2}/4=2/ \{ 9(k^{2}−1)^{2} \} (k^{6}−75k^{4}−45k^{2}−9) \\ \hspace{10pt} + \lbrack −8k(3+k^{2})/ \{ 3(k^{2}−1) \} \rbrack ^{2}/4 \\ \hspace{10pt} =2/9/(k^{2}-1)^{2}  \{ (k^{6}−75k^{4}−45k^{2}−9)+8k^{2}(3+k^{2})^{2} \} \\ \hspace{10pt} =2/9/(k^{2}-1)^{2}(9k^{6}-27k^{4}+27k^{2}-9)=2/(k^{2}-1)^{2}(k^{2}-1)^{3}=2(k^{2}-1)
より
 \{ t-4/3k(3+k^{2})/(k^{2}−1)s \} ^{2} \\ \hspace{10pt} =s^{3}+2(k^{2}-1)s^{2}+4/3(k^{2}−1)^{2}s+8/27(k^{6}−75k^{4}−45k^{2}−9) \\ \hspace{10pt} = \{ s+2/3(k^{2}-1) \} ^{3}-8/27(k^{2}-1)^{3}+8/27(k^{6}−75k^{4}−45k^{2}−9) \\ \hspace{10pt} = \{ s+2/3(k^{2}-1) \} ^{3}-8/27(72k^{4}+48k^{2}+8) \\ \hspace{10pt} = \{ s+2/3(k^{2}-1) \} ^{3}-64/27(3k^{2}+1)^{2} \\ \hspace{10pt} = \{ s+2/3(k^{2}-1) \} ^{3}-432 \{ 2/27(3k^{2}+1) \} ^{2}
よって
 S=s+2/3(k^{2}-1), T=t-4/3k(3+k^{2})/(k^{2}−1)s とおくと
 T^{2}=S^{3}-432 \{ 2/27(1+3k^{2}) \} ^{2}
x,yとの関係は、
 S=s+2/3(k^{2}-1)= \{ 2(k^{2}−1)x−2/3(k^{2}+15)ky+2(k^{2}−1) \} /(x+ky−1)+2/3(k^{2}-1) \\ \hspace{10pt} =2/3/(x+ky-1) \{ 3(k^{2}−1)x−(k^{2}+15)ky+3(k^{2}−1)+(x+ky-1)(k^{2}-1) \} \\ \hspace{10pt} =2/3/(x+ky-1) \{ 4(k^{2}-1)x-16ky+2(k^{2}-1) \} \\ \hspace{10pt} =4/3/(x+ky-1) \{ 2(k^{2}-1)x-8ky+(k^{2}-1) \}
 T=t-4/3k(3+k^{2})/(k^{2}−1)s \\ \hspace{10pt} =−8/9y(yk^{7}−5xk^{6}+57yk^{5}−4k^{6}+51xk^{4}−21yk^{3}−24k^{4}+9xk^{2} \\ \hspace{10pt} +27yk−36k^{2}+9x)/ \{ (x+ky−1)^{2}(k^{2}−1) \} \\ \hspace{10pt} -4/3k(3+k^{2})/(k^{2}−1) \{ 2(k^{2}−1)x−2/3(k^{2}+15)ky+2(k^{2}−1) \} /(x+ky−1) \\ \hspace{10pt} =-4/9/ \{ (x+ky−1)^{2} (k^{2}−1) \} \{ 2y(yk^{7}−5xk^{6}+57yk^{5}−4k^{6}+51xk^{4} \\ \hspace{10pt} −21yk^{3}−24k^{4}+9xk^{2}+27yk−36k^{2}+9x) \\ \hspace{10pt} +3(x+ky-1)k(3+k^{2}) \{ 2(k^{2}−1)x−2/3(k^{2}+15)ky+2(k^{2}−1) \}

{  }内の計算: 
x^{2} の係数: 6k(k^{2}+3)(k^{2}-1)
y^{2} の係数: 2k^{7}+114k^{5}-42k^{3}+54k+3k^{2}(k^{2}+3)(-2/3(k^{2}+15)k) \\ =6k(13k^4-22k^{2}+9)=6k(13k^{2}-9)(k^{2}-1)
xyの係数:-10k^{6}+102k^{4}+18k^{2}+18-2k^{2}(k^{2}+3)(k^{2}+15) \\+6k^{2}(k^{2}+3)(k^{2}-1) \\ =-6(k^{6}-13k^{4}+15k^{2}-3)=-6(k^{4}-12k^{2}+3)(k^{2}-1)
xの係数 :6k(k^{2}+3)(k^{2}-1)-6k(k^{2}+3)(k^{2}-1)=0
yの係数 :-8k^{6}-48k^{4}-72k^{2}+6k^{2}(k^{2}+3)(k^{2}-1) \\ +2k^{2}(k^{2}+3)(k^{2}+15) \\ =0
   定数  :-6k(k^{2}+3)(k^{2}-1)

T=-4/9/(x+ky−1)^{2}6 \{ k(k^{2}+3)x^{2}+k(13k^{2}-9)y^{2}-(k^{4}-12k^{2}+3)xy-k(k^{2}+3) \} \\ \hspace{10pt} =-8/3/(x+ky−1)^{2} \{ k(k^{2}+3)x^{2}+k(13k^{2}-9)y^{2}-(k^{4}-12k^{2}+3)xy-k(k^{2}+3) \}

逆変換は、A,B,Cに含まれる s,tをS,Tで置き換えればよい。

 A=9(k^{2}−1)^{2}s^{2}−16k^{2}(k^{2}+3)^{2}s+12k(k^{2}−1)(k^{2}+3)t \\ −4(k^{2}−1)(k^{3}−9k^{2}+3k−3)(k^{3}+9k^{2}+3k+3) \\ =9(k^{2}−1)^{2} \{ S-2/3(k^{2}-1) \} ^{2}−16k^{2}(k^{2}+3)^{2} \{ S-2/3(k^{2}-1) \} \\ +12k(k^{2}−1)(k^{2}+3) [ T+4/3k(k^{2}+3)/(k^{2}-1) \{ S-2/3(k^{2}-1) \} ] \\ −4(k^{2}−1)(k^{3}−9k^{2}+3k−3)(k^{3}+9k^{2}+3k+3) \\ =1/(k^{2}-1) [ 9(k^{2}−1)^{3} \{ S-2/3(k^{2}-1) \} ^{2} −(k^{2}-1)16k^{2}(k^{2}+3)^{2} \{ S-2/3(k^{2}-1) \}  \\ +12k(k^{2}−1)(k^{2}+3) [ T(k^{2}-1)+4/3k(k^{2}+3) \{ S-2/3(k^{2}-1) \} ] \\ −4(k^{2}−1)^{2}(k^{3}−9k^{2}+3k−3)(k^{3}+9k^{2}+3k+3) ] \\ =(k^{2}-1) \{ 9(k^{2}-1)S^{2}-12(k^{2}-1)^{2}S+12k(k^{2}+3)T+32(3k^{2}+1)^{2} \}

B=9(k^{2}−1)^{2}s^{2}+4(5k^{6}−51k^{4}−9k^{2}−9)s−6k(k^{2}−1)(k^{2}−9)t \\+4(k^{2}−1)(k^{3}−9k^{2}+3k−3)(k^{3}+9k^{2}+3k+3)  \\= 9(k^{2}−1)^{2} \{ S-2/3(k^{2}-1) \} ^{2}+4(5k^{6}−51k^{4}−9k^{2}−9) \{ S-2/3(k^{2}-1) \} \\ −6k(k^{2}−1)(k^{2}−9) [ T+4/3k(k^{2}+3)/(k^{2}-1) \{ S-2/3(k^{2}-1) \} ] \\ +4(k^{2}−1)(k^{3}−9k^{2}+3k−3)(k^{3}+9k^{2}+3k+3)  \\ =(k^{2}-1)(9(k^{2}-1)S^{2}-24S(5k^{2}-1)-6Tk(k^{2}-9)-16(13k^{4}+18k^{2}+1))

C=18t(k^{2}−1)^{2}=18 [ T+4/3k(k^{2}+3)/(k^{2}-1) \{ S-2/3(k^{2}-1) \}  ] (k^{2}-1)^{2} \\ =18[T(k^{2}-1)+4/3k(k^{2}+3) \{ S-2/3(k^{2}-1) \} ] (k^{2}-1) \\ =2(k^{2}-1) \{ 12k(k^{2}+3)S+9(k^{2}-1)T-8k(k^{2}-1)(k^{2}+3) \}

したがって、A,B,Cを(k^{2}-1) で除したものを改めてA,B,Cとおくと

x=B/A
y=C/A
ここで
A=9(k^{2}-1)S^{2}-12(k^{2}-1)^{2}S+12k(k^{2}+3)T+32(3k^{2}+1)^{2}
B=9(k^{2}-1)S^{2}-24S(5k^{2}-1)-6Tk(k^{2}-9)-16(13k^{4}+18k^{2}+1)
C=2 \{ 12k(k^{2}+3)S+9(k^{2}-1)T-8k(k^{2}-1)(k^{2}+3) \}

               (説明終)