メモ14で 正の立方数の和を3とおりで表わすパラメータ解を求めた。ただし、それは2変数同次8次式となりあまり簡明なものではなかった。もう少し、低次の多項式でパラメータ解がないか、いろいろ試したがなかなかうまくいかない。その試みにも何か意味があるかと思い、ここに書き残しておく。
1. のパラメータ表示
パラメータ表示は、いろいろな やり方があると思うが、ここでは、 を の同次2次式であらわすことを考える。
最初に以下の命題を示す。
この命題で、 が整数であれば、正とは限らないが立方数 のパラメータ表示が得られる。
(説明) より
(説明終)
とおくとき
であるので、 が成立するためには、
であればよい。
(1)~(5)が成り立つ例を以下に示す。
(例1)
(1)は であることを示す。(5)も同様である。よって、タクシー数1729の例より
が(1)、(5)の一つの解である。
(2), (3), (4)にこの解を入れて整理すると
(2) →
(3) →
(4) →
(6), (8)を の連立方程式として解くと
これを (7) に代入し、 の式とすると
この式で が整数となる解は
のみ
- のとき
(9), (10) より、 したがって、
これより
よって、命題1より
なお、上式の右辺は の対称式なので
が成り立つ。
- のとき
の場合のパラメータ解で を に置き換えた解が得られる。
- のとき
(9), (10) より、 したがって、
これより
- のとき
の場合のパラメータ解で を に置き換えた解が得られる。
- のとき
(9), (10) より、 したがって、
これより
- のとき
の場合のパラメータ解で を に置き換えた解が得られる。
2. のパラメータ表示
上の例で、 のとき、すでにこの例が 出ている。改めて示すと、
である。この求め方を振り返ると、 が の対称式となることを利用している。そこで、1 の議論で最初から
とおき を求めれば は の対称式となるので、立方数を2通りに表すパラメータ解が得られることになる。
この時、解くべき式は
である。
(例2)
例1. では、タクシー数1729を用いた例を示したが、ここでは、相違なる整数の3乗和としてあらわされる最小の自然数91を用いる
であるので、(11),(15) の解として、 が得られる。
この解を、(12)と(14)に代入すると
であるので、 である。
これを(13)に代入して、
したがって、 または である。以上より、解
ケース1
ケース2
が得られた。
ケース1のとき
なので、
よって
ケース2は を に置き換えたパラメータ解に相当する。
次回は3とおりのケースの悪戦苦闘について紹介する。